BC茨城、異色の新監督は元NHKディレクター 指導経験ゼロも大抜擢「野球界に挑戦」

「ディレクターの仕事はプロ野球チームの監督に似ている」

 同席した色川冬馬GMは「チームに問題がある時は大抵、首脳陣に問題がある。監督に求められるのは、技術的なコーチング能力より、マネジメント能力だと感じています」と説明。伊藤新監督に決めた理由を「スマートなところがいい。テレビ局のディレクターの仕事は、プロ野球チームの監督に似ているとも思いました。会社の方針を理解しなければならない立場ですし、カメラマンや音声さんはコーチ、生かすべきタレントは選手にあたるのではなでしょうか」と語った。こちらも「野球界における挑戦だと思います。化学反応をプロ野球の底辺から起こしていきたい」と意気軒高である。

 茨城は2019年にBCリーグに参入。3年連続地区最下位に沈んでいたが、2022年に松坂前監督が就任1年目で南地区優勝に導いた。昨秋には渡辺明貴投手が育成ドラフト4位でDeNA入り。チームは元ソフトバンクの巽真悟投手が兼任で投手コーチを務めている。

 伊藤新監督は重圧をものともせず、「『指導未経験者が監督をやるのって、どうなの?』という疑問は当然、選手にもあると思いますが、だからこそやる意義があるし、面白いと思います」と笑う。安定した職場を投げ打ち、新たな道を切り開くことを選んだ異色の新指揮官。画期的なチャレンジに幸多かれ、と祈りたい。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY