収入半減で「もったいない」も… 元ハム右腕が“安定”よりキッチンカーを選んだワケ
事業計画プレゼンはテレビ番組さながら「“マネーの虎”みたい」
「野球以外の世界を見てきていなかったんですけど、会社を始めてからは知らなかったことをたくさん知りました。経営者の大変さ、消費者に何を与えられるか……。大変だけど楽しい部分が多くて、その一環で子どもたちに野球道具やトンボを送ったりする中で、自分の事業が大きくなればもっとこういう活動ができるし、それで野球界に還元できると思いました。野球人口が減少しているので、子どもたちが野球に触れて、楽しいということを体験してほしい。だからビジネスの部分は切れなかったんです」
傍から見たら“安定”を捨てての転身。当然、周囲からは「もったいない」言われることも多かったという。収入は売れ行き次第のところもあり「見込みは全く分からない。でも減りますよね。たぶん、(昨年比で)半分くらいにはなりそう」。それでも「挑戦ですね。不安はない。どうなっていくか分からないという気持ちはあるけれど、そこは自分次第。だから前向きで、楽しさというかワクワクしかないんです」と目を輝かせた。
いざキッチンカーを始めると決まっても、課題は山積みだった。開業方法などノウハウを教えてくれるセミナーに参加。融資を受けようとするも一度はうまくいかず、書類作成のアドバイスをくれる場にも足を運んだ。挑んだ事業計画などのプレゼンテーションは「本当に“マネーの虎”みたいな。ようやく借りられて“マネー成立です”って感じでした。お金を借りるのも大変だなと分かりました」とかつて見ていたテレビ番組を引き合いに出しながら明るく振り返る。
キッチンカーにもこだわりを散りばめた。外見は森をイメージした緑色に、所々がウッド調の仕上がりで、カスタマイズを含めて数百万円を投じてつくり上げた。「一番は味にこだわっている」と自信を見せるように、出店場所によって変わるメニューも超本気。シャウエッセンを使ったホットドックやイングリッシュマフィン、パイコロネ、パフェなどがある。