元阪神守護神は「選手を見る目の失敗例」 予想できなかった覚醒…鷹の編成が認めた“負け”
藤浪はメジャーで成功すると断言「細かいことを気にせずに」
野球に関する“引き出し”がいくつもできた喜び、自覚もある。「何かを変えることによってガラリと変わる選手もいる。それは息子(藤田卓史さん)に教えてもらいました。高校は背番号20、大学は3年まで大差の試合に1イニング投げただけだったのが、投げ方を上から横に変えたら、球速も上がり、グンとよくなったんです。それ以来、選手に対して『ちょっと変われば』という見方ができるようになりましたね」。卓史さんはその後、社会人の強豪・東芝に進み、2010年の都市対抗で優勝に貢献。大会MVPに相当する橋戸賞を受賞した。
藤田氏は2019年に台湾プロ野球の中信兄弟で2軍ヘッド兼投手コーチを務めた後、日本に戻った。現在は“充電中”だが、まだまだ野球界に貢献したい気持ちでいる。「プロだけでなく、少年野球やアマチュア野球もね。プロ野球選手になりたい人、社会人野球に進みたい人、指導者になりたい人、野球を楽しみたい人。いろんなタイプがあると思いますけど、それにあったことを伝えていきたい。野球は楽しくやらないと伸びない。そんなお手伝いができればと思っています」。
プロ野球中継を見れば、必ず投手をチェックするという。「あっ、この投手は今日はいいなとか、ちょっと厳しいなとかね。自分の見る目が正しいかは、結果ですぐわかるしね」と笑う。「藤浪(晋太郎)はアメリカが合うと思います。あまり細かいことを気にせずに、もともとあったありのままの姿でやればいい。私の見方ですけどね。こう言い切って、どんな結果がでるか、頑張ってほしいし、楽しみです」。根っからの野球人。いつでも野球とつながっている。
(山口真司 / Shinji Yamaguchi)