少年野球界で飛び交う「複合バット」の是非 元プロの指導者が危惧する技術の停滞

兵庫・明石ボーイズJr.の筧裕次郎総監督【写真:橋本健吾】
兵庫・明石ボーイズJr.の筧裕次郎総監督【写真:橋本健吾】

明石ボーイズJr.の筧総監督「強烈な打球で怪我をする子どもも…」

 昨年末に開催された「NPB12球団ジュニアトーナメント KONAMI CUP 2022」ではルールが改訂され、ウレタン素材などの複合バットは使用禁止になった。金属よりも飛距離が伸びると言われている複合バットは、力のない子どもたちでも長打を放つなど“成功体験”を得られるが、一方で強烈な打球が野手を襲う危険性もある。

 賛否両論がある“飛ぶバット”。兵庫の軟式少年野球チーム「明石ボーイズJr.」の筧総監督は「個人的な意見としては反対です」と語る。理由は2つあるという。

 まずは金額面。子どもの野球離れの要因としてあげられているのが用具の価格。約4万円もする高価なバットは保護者の負担も大きく「やりたくてもできない。そんな声もあると聞きます」と指摘する。

 もう一つは、打撃技術の停滞と危険性だ。複合バットは芯で捉えなくとも、飛距離が出てしまうため「子どもたちが勘違いする恐れがある。打撃の技術も上がっていかない。6年生の試合にチーム事情で低学年が守る時もあり、強烈な打球で怪我をする子どもがいるのも事実」。中学、高校、大学とステージが変われば、金属バットや木製バットを使用するだけに、複合バットで得られるものは少ないと考えている。

小学6年生にとって中学野球に移行する2月、3月の2か月は「復習期間」

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