丸刈り皆無、監督を“さん付け” 慶応高が挑む壮大な目標「高校野球に新しい価値観を」
慶応高・大村主将「結果を出して、高校野球全体に新しい価値観を発信したい」
「日本一しか見ていません」。第95回選抜高校野球大会に5年ぶり10回目の出場を決めた慶応高(神奈川)の大村昊澄(そらと)主将は、そう言い切った。「高校野球全体に新しい価値観を発信したい。そのためには、やはり勝たないと、自分たちが何を言っても、結局理想論だろうと言われたり、否定されたりしてしまったりするでしょう。結果を出して正しさを証明し、こういう野球もあるんだよと発信していきたいと思います」という壮大な目標があるからだ。
昨秋の関東大会でベスト4入りを果たし選抜出場を決定づけたが、「準決勝で敗れて悔しかったです。このままではダメだと思います」と、全国制覇を前提とする以上、危機感の方が強い。
大村主将は、愛知県出身だ。愛知港ボーイズ時代のコーチが慶大野球部出身で、高校・大学を貫く慶応の野球の素晴らしさを聞かされて育った。慶応高・森林貴彦監督の著書も精読した。「高校野球らしくないところに惹かれました」と言う。
どういう意味なのか? 大村は「寮生活で管理されて、言い方は悪いですが、選手は駒のように、何事も監督の言う通りにやる、というのが僕が抱いていた高校野球のイメージでした」と説明。「ここ(慶応高)はそうではなく、1人1人が考えて、1人1人が少しでもチームの役に立とうとする関わりが、掛け算されてチームが強くなっていく。そういう慶応の野球のあり方が、高校生らしくないというか、これが本来高校野球のあるべき姿なのだろうな、という新しい価値観が芽生えました。それを慶応が中心となって、高校野球全体に発信していきたい」と語る。