2位指名にブチ切れ「もう来ないでください」 入団拒否の大投手落とした“猛口説き”

元中日・小松辰雄氏【写真:山口真司】
元中日・小松辰雄氏【写真:山口真司】

敏腕・法元スカウトの猛口説き「親身になって俺のことを考えてくれた」

 だが、小松氏はそれを聞いてすぐに気持ちを切り替えたわけではない。法元スカウトが約1か月も金沢に滞在。それこそ熱心に口説かれて変わったという。「大学に行くより、将来のことを考えたら、すぐにプロに行った方がいいんじゃないかってね。プロのスカウトだったら、そう言うだろうけど、それだけじゃなく、法元さんは親身になって俺のことを考えてくれているのがわかったからね。そんな人柄もあってね。もともとプロに行きたかったわけだし、途中からまた中日に、となった」

 結果、駒大・太田監督にも断りを入れて、中日入りを決めた。星稜からは記念すべきプロ第1号だ。しかし、その入団発表の席に山下監督の姿はなかった。迷惑をかけた太田監督のことを考えて、あえて欠席したのだった。「そのことに今度はウチの親父が怒ってしまって……。『何で監督は来ないんだ』ってね。まぁ、プロで早い時期から活躍できたから、よかったけどね。失敗していたら、まだいろいろあっただろうね」と小松氏は振り返った。

 もっともプロ1年目はいきなりの試練だった。「神様、仏様、稲尾様」の稲尾和久1軍投手コーチと「権藤、権藤、雨、権藤」の権藤博2軍投手コーチのビッグネーム2人に鍛えられて……。

(山口真司 / Shinji Yamaguchi)

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