活躍翌年に防御率5点台、守護神“はく奪”も 激しい“栄枯盛衰”…救援投手の明暗
オリは宇田川や山崎颯ら若手台頭、鷹・藤井は大ブレーク
○ロッテ
2021年のブルペンは、優勝争いを繰り広げたチームの原動力だった。その立役者だった佐々木千隼と国吉佑樹や東妻勇輔、唐川侑己、田中靖洋と多くの主力が不振に陥ったことで、リリーフ陣は再編を余儀なくされた。一方、2021年は5登板に終わった東條大樹がセットアッパーに定着して30ホールド。西野勇士と岩下大輝は故障から復活し、小野郁は防御率1点台を記録。廣畑敦也と八木彬も1年目から1軍で奮闘するなど、前年とは異なる戦力台頭も見られた。
ロベルト・オスナとタイロン・ゲレーロはいずれも退団。MLBから3年ぶりに復帰する澤村拓一をはじめとする新戦力や、不調でクローザーを外れた昨季からの復調を期す益田直也ら既存戦力がその穴を埋められるかがカギになりそうだ。
○オリックス
2021年にセットアッパーを務めたタイラー・ヒギンスが退団し、3年連続40試合に登板していた山田修義も登板機会が減少。ポストシーズンでもフル回転を見せた吉田凌と富山凌雅、剛腕の漆原大晟とK-鈴木も不振で、新たな力の台頭が求められた。そんな中で、トミー・ジョン手術明けの近藤大亮と黒木優太が序盤の戦いを支え、中盤戦以降は阿部翔太、侍ジャパンに選出された宇田川優希、本田仁海が大きく飛躍。山崎颯一郎とジェイコブ・ワゲスパックのリリーフ転向も奏功し、持ち前の剛速球でブルペンに欠かせない存在となった。
今季もベテランらしい投球で存在感を見せた平野佳寿と比嘉幹貴、ドラフト7位入団でブルペンに割って入った小木田敦也らも含め、リリーフ陣は明確なストロングポイントに。ポストシーズンを勝ち抜く要因となった救援陣にかかる期待は、今季も大きなものとなるだろう。
○ソフトバンク
嘉弥真新也は防御率0点台と抜群の投球内容を示し、津森宥紀と甲斐野央も防御率2点台をマーク。FA加入した又吉克樹も故障離脱を強いられるまでは期待通りの投球を見せ、独立リーグから2年ぶりにNPBに復帰した藤井皓哉は大ブレークを果たした。松本裕樹もセットアッパーへと成長を遂げ、守護神を任されたリバン・モイネロも変わらぬ安定感を示した。
ブルペンが安定したことは、前年リーグ4位に沈んだチームの復調にも一役買った。それだけに、藤井と森唯斗が先発に転向する今季も安定感を保てるか。ロベルト・オスナの加入や又吉の故障からの復帰を後押しに、ブルペンの再編をスムーズに進めたい。
以上のように、程度の差こそあれブルペンの顔ぶれには各球団で変化があった。オリックスと西武は整備に成功したことが躍進に直結。ロッテと日本ハムは、立て直しの失敗がチーム成績にも大きく響く結果となった。昨季活躍した投手、不振に苦しんだ投手に新シーズンはぜひ注目してほしい。
(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)