保護者に「道具を買ってとは言えない」 巨人・中島ら輩出…少年野球チームが56年続く秘密
巨人・中島宏之、オリックス・山崎勝己らを輩出した「桜台ハンターズ」
楽天・田中将大投手、巨人・坂本勇人内野手らの出身地、兵庫・伊丹市は多くのプロ野球選手を輩出している。そんな伊丹市の少年軟式野球チームで最も古い歴史を持つのが、今年で創部56年目の「桜台ハンターズ」。野球にかかる費用を少しでも減らそうと、“地域密着”で取り組みを行っている。長く続いたり、結果を残すチームには明確な指導法や取り組みがあるようだ。
一際目立つ白髪、白髭のノッカー。孫世代にあたる小学生たちを熱心に指導するのが幸地正直顧問だ。少年野球界に携わって35年。過去に同チームで監督を務め、ヤングリーグ「兵庫伊丹」ではコーチとして山田哲人(現ヤクルト)、中島宏之(現巨人)、山崎勝己(現オリックスバッテリーコーチ)ら多くのプロ野球選手を育てた。
現在は顧問の立場として小学生たちを指導しているが「昔は勝利至上主義のチームが多く1試合も出ないまま卒団する子どもがたくさんいた。私としては、頑張って練習している子どもは全員使ってやりたい。小学生は体格差などあっても無限の可能性を秘めている。試合を経験することで覚えることは多い」と、昔からの信念は変わらない。
できるだけ多くの子どもたちに無理なく、野球を楽しんでほしいと考えている。金銭面などが理由で野球を諦める家庭も見てきただけに「保護者に負担はなるべくかけないように」と、チームではグラブなどの野球用具を貸し出している。