野球は退屈なスポーツ? 勝敗を左右する「ボールが動いていない時間」の使い方

バッティングピッチャーも務める高松商・長尾健司監督【写真:喜岡桜】
バッティングピッチャーも務める高松商・長尾健司監督【写真:喜岡桜】

「選手も考えながらしたら1試合でヘロヘロに疲れる」

 どのような戦況でも「常に子ども(選手)はその状況に対する準備だけ」。そして、「指導者は次の展開を考える。相手が最高のパフォーマンスを出したときのことを考えて、最悪の事態に対応する準備をしておく」。すると、ベンチの雰囲気も変わるという。「こっち(指導者)はネガティブ、あっち(選手)はポジティブ。プラスマイナスゼロで、ベンチのバランスが取れるでしょ」。

 香川大学教育学部附属坂出中から2014年に高松商へ赴任した長尾監督は、これまで「(試合中に)ポジティブなことを考えたことは一度もない」と明言する。ポジティブ思考で挑む選手に対し、指揮官はネガティブに徹している。

「相手がどんな作戦でくるのか、1つ先、2つ先を読みながら、いつも最悪の状況を考えながらやる。3ボール1ストライクになったら、4番の凄いバッターなら絶対にガーンと(振って)くるやん。ツーツー(2ボール2ストライク)やったらワンバンになってもいいし勝負球を使えるけど、ワンスリー(3ボール1ストライク)やったらストライクしかないんよ。そうなった時に守備位置をパッと見て、考える。考えることは少し違うけど、選手も考えながらしたら1試合でヘロヘロに疲れると思うで」。

 試合に退屈さを感じたら、それはまだ備えが足りていないのかもしれない。ボールが動いていない時の使い方で、さらに野球が楽しくなるはずだ。

(喜岡桜 / Sakura Kioka)

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