野球は退屈なスポーツ? 勝敗を左右する「ボールが動いていない時間」の使い方

高松商・長尾健司監督【写真:喜岡桜】
高松商・長尾健司監督【写真:喜岡桜】

高松商・長尾健司監督「野球を退屈と思う人は、考えていない人」

 野球の試合時間は9イニング制なら約2~3時間。しかし、その中で、ボールが動いているのはわずか20分程度だ。投手が首を振ったり、打者や走者がベンチからのサインを確認したり、攻守交代や選手交代の時間もある。ボールが「動いていない」状態でほとんどの時間が過ぎていく。強豪高校の指揮官はボールが止まっている時間の使い方が大切と説く。

 1924年の第1回選抜大会を制するなど春夏通じて計4度全国制覇を果たしている伝統校・高松商を低迷期から復活させ、昨夏には52年ぶりに甲子園8強に導いた長尾健司監督は「野球って、退屈なスポーツなんよ」と語る。「でもな、野球を退屈なスポーツと思う人は、考えていない人。野球が退屈じゃないと感じている人は、いろんなことを想定している。要するに、休む暇がない。ボールが止まっている時の方が忙しいんよ」。つまり、有意義な2~3時間にするためのカギは“ボールが止まった時”にあると指摘する。

 選手はボールが動いていない時に何をすべきか。「今こういうことが起こっているから、こういうふうに備えようかと考えることが基本」と長尾監督。一息つくのではなく、次のプレーを見据えると説く。「人間って脳で考えて身体を動かしているように思うけど、実は逆らしい。思考より行動が先なんだって。だから、ピッチャーがボールを投げてから考えても、もう遅いんよ。ボールが動いてないうちにいろんなことを考えて、どれだけ準備ができているかが大切」と説明する。

 さらに、これから動き始める一球に集中し、「次はこうやって追い込むぞ」などとポジティブな見通しを立てることが大事であり、「こうなったらどうしよう」と不安を抱くことは無用だという。

「選手も考えながらしたら1試合でヘロヘロに疲れる」

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