肩肘の故障を防ぐ親子の“スキンシップ” 小中学生の10%に問題も…早期発見がカギ

肩肘検診への意識が希薄…医療と指導現場の連携に課題

 埼玉県内にも小、中学生が肩や肘を定期的にチェックする必要性を訴える専門医はいる。しかし、それぞれが自分たちの地域だけで情報発信することが多く、県内全体に広がっていない。山田さんは「今回のような場は子どもや保護者に検診の大切さを伝えるとともに、医師の仲間づくりにもつながります」と話す。

 大きな故障につながるサインは、専門医ではないと気付かないケースが少なくない。山田さんは、別の病院で野球肘と診断された選手を診断したことがある。この選手は利き腕の肘が伸びなくなり、数か月間のノースローを指示された。しかし、肘の状態が思うように改善しなかったため、山田さんのところにやって来たという。

「今はギプスで固定する方法が推奨されています。その選手も1か月固定したらキャッチボールができるようになりました」。山田さんは成長期の選手が肩や肘を痛める要因は、投げ過ぎだけではないと話す。保護者が子どもの肘や肩を日常的に触って、痛みや違和感がないかチェックすることが大きな故障を防ぐ有効な方法となる。

 ベースボールサミットの中心を担った西武も、野球の競技人口減少に対する危機感は同じ。球団の経営企画部L-FRIENDSグループのマネージャー・松本有さんは「せっかく野球を始めたのに、怪我でやめてしまう子どもたちを1人でも少なくしたいと思っています。野球の競技人口を増やすのは難しいかもしれませんが、埼玉県内の団体が協力すれば減少ペースを緩やかにできると考えています」と力を込める。

 野球界の根底は小学生や中学生が支えている。さらに、野球経験者の園児が競技人口減少のカギを握る。アマチュアとプロでカテゴリーが違っても、指導者と医師で立場が異なっても、野球を楽しむ子どもを増やしたい思いは変わらない。

(間淳 / Jun Aida)

少年野球指導の「今」を知りたい 指導者や保護者に役立つ情報は「First-Pitch」へ

 球速を上げたい、打球を遠くに飛ばしたい……。「Full-Count」のきょうだいサイト「First-Pitch」では、野球少年・少女や指導者・保護者の皆さんが知りたい指導方法や、育成現場の“今”を伝えています。野球の楽しさを覚える入り口として、疑問解決への糸口として、役立つ情報を日々発信します。

■「First-Pitch」のURLはこちら
https://first-pitch.jp/

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY