ボンズが「1メートル前を振った」 衝撃の三振斬り…メジャーの目に留まった宝刀
96年秋の日米野球でボンズを三振斬り…MLB関係者の目に留まったという
三村カープは失速した。最大11.5ゲーム差をつけていた長嶋巨人にひっくり返される「メークドラマ」を許してしまった。最終的には星野中日にも抜かれての3位。佐々岡氏は「あの時、優勝しないといけなかった。打線もビッグレッドマシンと呼ばれて強力だったのにね」と悔しそうに話す。終わったことはどうしようもないが、振り返れば、やはりあの年はもったいなかったとなる。普通に戦えればVをつかめたのではないか。そう思うのも無理はないほど残酷な結果だった。
その年は11月に日米野球もあった。東京ドームでMLB選抜チームと対戦する全日本の一員だった佐々岡氏は、メジャー関係者の目に留まった。11月1日の第1戦では、バリー・ボンズ、アンドレス・ガララーガの大砲2人から三振奪取。3日の第3戦でも3三振を奪うなど快投を続けたからだ。「その時の僕は絶好調だった。全盛のカーブでボンズは三振。1メートルくらい前を振ったりしていたしね。当時の新聞には3年9億とか出ていたね」。しかしメジャーには全く興味がなかったという。
ボンズは2000年11月の日米野球でも来日。4年前にやられた佐々岡氏のことを覚えていて「今回は打つ、あのカーブを打つ」と息巻いていた。そして第3戦(2000年11月5日、東京ドーム)に先発した佐々岡氏から、予告通りカーブを狙い撃ちしてのホームランをかっ飛ばした。「本当に打たれたからね。それも印象に残っている」。2001年にはMLBでシーズン73本塁打をマークするなど、通算762本塁打のボンズとの対決もまた野球人生における財産のひとつだ。
(山口真司 / Shinji Yamaguchi)