怒鳴る指導者は「チームをやめてくれ」 褒める方針に一変…部員倍増に成功のワケ
東京・足立区「西伊興若潮ジュニア」は4年前に怒声罵声を全面禁止
変化は劇的だった。東京・足立区の少年野球チーム「西伊興若潮ジュニア」は4年ほど前から、怒る指導を一切禁止した。選手を褒めて伸ばす方針は口コミで広がり、当時30人弱だったメンバーは60人以上に増えた。チームの指導者は主に選手の父親が務めているが、怒声罵声やパワハラを根絶するため、警告を3度受けた場合はチームを退団する仕組みにしている。少年野球で“楽しみながら上手くなる指導”が浸透してきているようだ。
怒声や暴力が容認されていた“昭和の指導”は野球界でも見直されている。だが、いまだに少年野球では選手を怒鳴る指導者が少なくない。西伊興若潮ジュニアも4年ほど前までは、監督やコーチから怒声罵声が飛んでいた。だが、指導方針を大きく転換した。チームの代表を務める山崎伸さんは言う。
「子どもたちを怒鳴っても何も生まれません。委縮させて成長する機会を奪ってしまいますし、大人の顔色ばかり見るようになってしまいます。強くなくても良いんです。子どもたちが安心して野球ができる環境を整えようと決めました」
チームでは選手の父親が監督やコーチを務めている。もちろん、全員が選手を怒鳴っていたわけではない。ただ、一部の指導者が暴言を吐き、選手たちを威圧していたという。そして、横暴な指導者に周りは何も言えなくなっていた。