怒鳴る指導者は「チームをやめてくれ」 褒める方針に一変…部員倍増に成功のワケ

褒める指導でメンバー倍増 選手の自主性向上でチーム力もアップ

 褒めて育てる指導に変えてから、チームのメンバーは大幅に増えた。4年ほどで、30人弱だった選手数は60人を超えた。野球の競技人口減少が叫ばれる中、口コミで評判が広がったためだった。他のチームで指導者に怒鳴られて嫌になり移籍してきた選手もいる。練習の体験に来た保護者の中には「子どもは野球をやりたがっていましたが、野球の指導者は怒鳴るイメージだったので敬遠していました。もっと早く体験に来ればよかった」と話す人もいた。

 想像以上の成果も得た。学年別の大会で足立区代表として都大会に出場するなど、結果も残せるようになったのだ。選手は褒められるとうれしくて自主的に練習したり、野球が楽しくてもっと上手くなろうとしたりする。自然と成長していた。チームの総監督を務める中村勝哉さんは、こう話す。

「怒るのをやめようとなった時、強くなれないと反対する指導者もいました。考え方の違いで対立したこともありましたが、今の子どもたちの姿を見れば方針転換は正しかったと思っています」

 怒る指導はやめた。ただ、選手を甘やかしているわけではない。怪我につながるような危険なプレー、相手チームや仲間を傷つける言動、礼儀を欠く行動などは根拠を示して指摘する。中村さんは「低学年はとにかく野球を楽しもうという雰囲気ですが、高学年になると選手も高い目標を掲げているので緊張感のある練習になります。楽しくて強いチームを目指しています」と語る。

 子どもや保護者から、なぜ野球が選ばれなくなっているのか。怒鳴らなければ選手は上手くならないと根拠のない考え方にとらわれている指導者、暴言や暴力は指導に不可欠と古い考えを捨てきれない指導者は、西伊興若潮ジュニアに生まれた変化を直視する必要がある。

(間淳 / Jun Aida)

少年野球指導の「今」を知りたい 指導者や保護者に役立つ情報は「First-Pitch」へ

 球速を上げたい、打球を遠くに飛ばしたい……。「Full-Count」のきょうだいサイト「First-Pitch」では、野球少年・少女や指導者・保護者の皆さんが知りたい指導方法や、育成現場の“今”を伝えています。野球の楽しさを覚える入り口として、疑問解決への糸口として、役立つ情報を日々発信します。

■「First-Pitch」のURLはこちら
https://first-pitch.jp/

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY