佐々木朗希よりも欲しかった“ドラ1” ビデオ見て即決…新人王導いた新米監督の慧眼
守護神・栗林良吏は「将来的に先発も」
2020年ドラフト会議で1位指名した栗林もそうだ。この時は早川隆久投手(早大→楽天)と意見が分かれていたという。「当然、早川ということも考えたけど、この時は課題が抑えだったんでね。栗林の大学時代、社会人時代のピッチングを見て、空振りのとれる真っ直ぐ、フォークは抑えでもいけるんじゃないかと思った。ジャパンでも抑えをやっていたというのもあったんでね」。森下同様、単独入札での1位指名だった。
「ただ、栗林の場合は先発もいけるというのもあって、キャンプで投球を見て、僕も打席に入って、ちょっと球筋を見たりした。抑えで行こうと、ある程度決めてはいたんですけどね。本人にはオープン戦の最後の時に言いました」。結果、開幕から22試合連続無失点を記録するなど、0勝1敗37セーブ、防御率0.86。いきなり日本を代表する抑え投手になったのだから、こちらの見立ても大正解だったわけだ。
もっとも、栗林は先発も抑えもこなせるタイプであることに変わりなく、「僕に似ているところがある」と佐々岡氏。自身の現役時代とダブる部分があるという。「今年はもちろん抑えでしょうけど、将来的には先発もあるんじゃないですかね。栗林にはいずれは100勝100セーブを目指せって冗談で言いましたけどね」と笑みを浮かべながら話したが、楽しみのひとつではあるようだ。
コロナ禍も加わり「精神的にはそりゃあきつかったですよ。負ければ発散するものもなかったし、ストレスもたまった」と振り返った監督生活。2022年10月2日の中日戦(マツダ)終了後、佐々岡監督はファンに辞任を報告した。当然、無念の思いがそこにはあった。
(山口真司 / Shinji Yamaguchi)