進学予定から“心変わり”も…「なんだろう、この人」 予期せぬエースの英才教育

南海戦で好投…野村克也監督から「お前、どこから来たんや」

 それにしても初々しい。まだ18歳の右腕はそんな感じでプロの道を歩み始め、オープン戦では主戦投手のように投げた。平和台球場での太平洋戦では勝利投手になって、社長賞をもらった。賞金5000円が入った封筒は実家の神棚にずっと貼ってあったという。

 長野県飯田市での南海戦も忘れられない。ダブルヘッダー1戦目に先発し、6回無失点に抑えた。2試合目はネット裏でスコアブックをつけながらの見学だったが「そこへつかつかっと野村さんがやってきて“お前、どこから来たんや”と聞かれた」。直立不動で「千葉県の成東高校から来ました」と答えると、野村氏はボソッと「ウチのスカウトはどこ見とるんや」とボヤいたという。

「野村さんはボヤいただけだが、これは自信になったね。そういうのに出会ったのも俺は運が良かったと思う」と鈴木氏は声を大にした。

 数年後、野村氏に「すごい自信になりました」とその頃の話をしたという。「野村さんは“そんな話したんか。覚えてない”って言っていたけどね」。星野氏と野村氏。プロ野球界に大きな影響を与えた偉大な2人にプロ1年目の開幕前から接することができたのは鈴木氏にとって大きなプラスになった。

(山口真司 / Shinji Yamaguchi)

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