一方的な指示もネガティブも捨てた…男子も女子も甲子園に導いた監督の“指導術”

神戸弘陵女子硬式野球部・石原康司監督【写真:橋本健吾】
神戸弘陵女子硬式野球部・石原康司監督【写真:橋本健吾】

「第24回全国高校女子硬式野球選抜大会」で4年ぶり3度目の優勝を果たした神戸弘陵

 この春に行われた「第24回全国高校女子硬式野球選抜大会」で、神戸弘陵が4年ぶり3度目の優勝を果たした。全5試合無失点で失策0。圧倒的な強さで頂点に立った。春3度、夏2度の全国制覇を誇るチームを、創部から指揮するのが石原康司監督だ。今回「First-Pitch」では常勝軍団を築き上げた名将の指導法に迫った。

 石原監督は男子の監督としても甲子園を経験している。1993年から2013年まで同校男子野球部の監督を務め、1994、1999年に選抜大会に出場。2014年に女子監督に転じると、2021年には初めて甲子園で開催された「第25回全国高校女子硬式野球選手権大会」決勝戦で、高知中央を破り2度目の日本一に輝いた。男女の硬式野球部を監督として甲子園に導いた唯一の監督だ。

 ユース大会などを含めると、日本一を10度手にしている石原監督は「一番は人間形成。野球がうまいことが、将来的に役に立つわけではありません」と語り、技術よりも人間性の育成を念頭に置いて指導している。さらに就任当初は「練習の量、質など、どこまでやっていいか分からなかった」と、女子と男子の違いに戸惑いを感じたこともあった。

 選手とは積極的にコミュニケーションを取るように心掛けている。男子監督時代は「声を出せ!」「元気がないぞ!」などと、一方的に指示を与えていたというが、今は違う。「『ちょっとおとなしいな?』など、受け手に考えさせることを意識させています。時にはジョークを絡ませながら。ネガティブな考えは感情が左右される。前向きに気持ちよく練習できる環境が絶対に必要です」と口にする。

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