マスコミが「誰ひとり、信用しない」 思わずポロリも…予想外だった投手の“告白”
広島・山根、大洋・遠藤との最多勝争い「取りたかったなぁ」
シーズン終盤には広島・山根和夫投手と大洋・遠藤一彦投手と最多勝争いも繰り広げた。まず鈴木氏が10月3日の阪神戦(ナゴヤ球場)で16勝目をマークした。本塁打王を争う中日・宇野勝内野手と阪神・掛布雅之内野手への両軍の敬遠合戦が話題になった試合で、先発としては投げにくかったが、6回5失点ながら白星をつかんだ。「山内さんが『孝政、行ってくれ、お前だけなんだ、キャッチャーが座ってフォアボールを出せるのは』って言われて投げた。褒められているのか、わからなかったけどね」。
続いて山根氏が10月7日の巨人戦(広島)で16勝目。遠藤氏も10月8日のヤクルト戦(神宮)で16勝目を挙げた。この時点で3人が並んだが、最後は10月13日のヤクルト戦(横浜)で遠藤氏が17勝目をマークして単独でタイトルを獲得した。
鈴木氏は悔しそうに話す。「あれは惜しかったねぇ……。最多勝、取りたかったなぁ。俺、3人最多勝で良かったもん。遠藤が勝った時、こっちはもうゲームがなかった(10月5日でシーズン終了)。サイン会かなんかしてたら、記者が来て『遠藤が勝ちました』って。何ぃだよね。まだゲームあったんだって思ったね」
最多勝のタイトルこそ獲得できなかったが、カムバック賞を受賞した鈴木氏。「これもびっくりしたけどね。えっ、俺ってね」。前年の1983年も7勝をマークしていただけに、本人はカムバックしたつもりはなかったようだ。
(山口真司 / Shinji Yamaguchi)