徹底する保護者との話し合い ポニーの強豪・筑後リバーズが努める野球観の共有

「選手によく言うんです。『得意になっちゃいけないよ』って」

 だが、野球が上手ければいいというものでもない。入部監督曰く「全国で勝てるチームや選手になることは目標。チームの目的は、高い人間性と優しさを持ち合わせた人に育ってくれること」だという。

「選手によく言うんです。『得意になっちゃいけないよ』って。優勝すると『スゴイ』と言われるけど、日常生活に大きな変わりはない。そもそも、野球がなくても生きる上で困らないわけですから。変わることがあるとすれば、自分の中に驕りの心が生まれるだけ。まだまだ中学生。今から夢を叶えるために頑張れる世代なんだから、野球と出会った幸せを感じながら、トップを目指して頑張ろうよって」

 入部監督自身「中学までは巨人のショートになれると信じていました」と笑う。高校に進むと「化け物のような先輩たち」の凄さを目の当たりにし、卒業後は福岡県内の企業チームで投手を務めた。現役を終える頃、息子の所属先を探すうちに発足したばかりの筑後リバーズと出会い、選手ファーストの理念に賛同。入団から半年ほど後に監督就任要請を受け、アッという間に20年超が過ぎた。

 練習グラウンドには時折、卒団生がやってくる。「結婚しますと婚約者を連れてきたり、子どもと一緒に見に来てくれたり。来てくれると場が和みますし、うれしいですね」。今年のメンバーは3年生11人、2年生11人、1年生16人の総勢38人。全員に1日1回声掛けをすることをモットーに、今日もまた、子どもたちを導いていく。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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