突然の“首脳陣一掃”で戻ってきた落合博満 監督就任は幻に…低迷する中日への思い
長嶋父子両方と対戦…一茂氏のコメントに「駄目だなと思った」
子どもの頃から憧れだった長嶋茂雄氏(巨人終身名誉監督)にも投げることができた。そしてヤクルト時代の長嶋一茂氏とも。鈴木氏は公式戦で長嶋父子両方と対戦した唯一の投手でもある。「そうみたいだね。ラッキーだったね。一茂には打たれていないよ。最初の対決はスライダーで見逃し三振。そんなすごいスライダーでもない。ビシッと決まったわけでもない。なのに一茂のコメントが“手も足も出なかった”って書いてあった。悪いけど、これは駄目だなと思ったなぁ。でも今、一茂君は大活躍だよね」。
父・武男さん、母・初美さん、兄・高勝さん。鈴木氏は両親と兄の協力もあって野球の世界に飛び込んだ。「おふくろはでしゃばってこない人だった。だって、俺の試合、1回も見に来たことがないんだよ。高校もプロ野球も1回もない。後になって聞いたよ。『なんで来ないんだ』って。そしたら『おっかなくて見てられない』って。『息子がピッチャーじゃない親はいいな』って、そんなことも言っていた……」。もちろん、妻・奈知代さんにも感謝している。
中日OB会長になって今年で8年目。「会長は今年の11月でやめようと思っている。任期2年で、2期くらいでやめる人が多い中、これだけやっているしね」と話すが、ドラゴンズを応援する気持ちはこれまで同様、一生変わることはない。それこそ、ユニホームを着ていても、脱いでいても中日の一員ということだろう。
「今日からまた我慢の日が続くと思うが、若い力を躍動させ、一泡吹かせてやってくれ、期待しています。体調に気をつけて」。2023年のペナントレース開幕戦の朝、鈴木氏は立浪監督にそうメールしたという。「愛されて、たまに優勝するチームになってほしいね。5年に1回くらいは優勝できないかなと思う」。剛速球ではなく快速球。中日の元祖・速球王は、ご意見番としてドラゴンズを熱く、鋭く、優しく見守っている。(終わり)
(山口真司 / Shinji Yamaguchi)