オリの“朗希級”20歳にOB評論家があえて注文 「どんどん投げたほうがいい」第3の武器
低めに来ていなかったフォークを磨けば「かなりヤバいピッチャーに」
フォークは野田氏の現役時代の大きな武器だったが、山下のそれにも大きな可能性を感じ取っているからこそだ。「山下はオープン戦とかではいいフォークを投げてましたよ。それでバッターがまったく“ノー感じ”の三振とかもあった。いいところに落ちて、どうしてもバットに当たらないような空振りも何回もありましたからね」。
それをものにしていくには、実戦で使っていくしかないという。「ゲームでピンチのときも思い切って投げてみる。キャッチャーが止めてくれると信じてね。思い切って腕を振ってね。それで、失敗することもあるかもしれないけど、ゲームで投げることで、こういう感覚なんだとか、このへんで放すんだとかもわかるようになる」。
実際、野田氏自身もそうやってフォークの精度を上げたそうだ。「力んだ時にいきなり投げようとしてもすっぽ抜けることが多いと思うんで、三振をとりにいくところで投げてみたり、そういう数を増やしていくと感覚的にもだいぶ自分のなかでも、覚えていくと思います」。
そして、こう付け加えた。「僕の場合はフォークの精度を上げていなかったら、たいして抑えることはできてなかったでしょうけど、山下の場合は真っ直ぐとカーブの精度が高すぎるんでね、だから現状それで抑えきれている。そこにフォークが加われば、もうかなりヤバいピッチャーになるってことですよ」。
189センチ、95キロ。とにかくスケールが大きい山下は未知の魅力がいっぱい。野田氏はロッテ・佐々木朗希クラスの逸材と見ており「体もごっついし、車でいうと一番最上級の排気量をしてそうなピッチャーですからね。パワーがみなぎっている」とうなるばかり。これからどこまで進化していくのか。オリックスの新星は、投げるたびに、すべてを吸収していくのは間違いない。
(山口真司 / Shinji Yamaguchi)