「直球か変化球か8割わかった」専門家が指摘…DeNAバウアー本領発揮の“ポイント”

DeNAのトレバー・バウアー【写真:荒川祐史】
DeNAのトレバー・バウアー【写真:荒川祐史】

「速いだけで抑えられる時代でないことも確か」

 同日のバウアーは計69球を投げた内、ストレートが約52.2%の36球を占めていた。その他はカーブとスライダーが9球ずつ、チェンジアップが8球、カットボールが6球、ツーシームが1球。最速は157キロを計測し、ストレートのうち150キロに達しなかったのは、149キロの2球だけ。初回には、4失点した後の1死一塁でマット・デビッドソン内野手を迎えると、2球目から154キロ、154キロ、156キロ、156キロ、156キロと快速球を5連投し圧倒。カウント2-2から最後はスライダーを打たせて遊ゴロ併殺に仕留めたシーンもあった。

 球種をある程度読まれていたとすれば、抑え切るのは難しい。しかしバウアーほどのキャリアと技術があれば、投球フォームの癖を早めに修正し、逆に利用して相手を手玉に取ることも可能ではないだろうか。

 また、野口氏は「ボール自体も高めの甘いコースに集まっていた。僕はサイ・ヤング賞を受賞した年の彼の投球を見たことがありますが、本来はあれほどコントロールの甘い投手ではない」とも。精密な制球力を取り戻すこともポイントのようだ。

 バウアーは2015年から20年までメジャーで5年連続2桁勝利を挙げるなど、その実績は歴代の外国人投手の中でピカイチ。とはいえ「最近は日本人の中にも160キロ近いストレートを投げられるピッチャーが増え、バッターも日々それに対応している。球が速いだけで抑えられる時代でないことも確か」と野口氏は見ている。レベルアップを続ける日本の打者とメジャー屈指の好投手が本当の意味でしのぎを削るのは、まだこれからと言えそうだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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