日ハム・田中正や阪神・大竹が躍動するワケ 元鷹コーチが語る2人の長所と移籍の意義
現ロッテ吉井監督は現役時代、移籍したヤクルトの雰囲気を変えた
7年目の田中正は、大竹とは対照的なスタイル。長身188センチから繰り出すストレートが最大の売り物で、パワーで押せる。「もともと力があるピッチャー。ホークスでも投げられていれば、それなりの成績を出せたはずです」。創価大から5球団競合の末、ドラフト1位でプロ入りした。しかし、肩や肘の故障に悩まされ、ソフトバンクでは未勝利。近藤健介外野手のFA移籍に伴う人的補償で、日本ハムに移った。
ホークス期待の星から人的補償の対象に。心境は複雑だったのではと推察されるが、飯田氏は考え方次第という。「プロテクトから漏れた中で一番良いということ。日本ハム側からの目線で見れば、活躍してもらわないと困る選手なんです」。評価が高い証ととらえるべきと語る。
飯田氏は、ヤクルトでの現役時代に移籍選手がチームの雰囲気を変えたシーズンを経験している。ロッテを率いる吉井理人監督が1995年に近鉄から交換トレードで加入。「ノムさん(野村克也監督)が欲しかったそうです。野球に対してストイック。みんなチャラチャラできず、ピリッとする怖い先輩。でも野球を離れると、めっちゃ面白い。今も監督さんとして、コメントで笑いを取られてますよね」。吉井投手は同年10勝をマークし、リーグ優勝、日本一に貢献した。
今シーズン、序盤とはいえ、大竹が属する阪神は首位争い。田中正の日本ハムも大きく引き離された昨年の最下位とは異なり、他球団に食らい付く。
現役ドラフト組では中日で中軸を担う細川成也(前DeNA)、巨人のオコエ瑠偉(前楽天)両外野手らも健闘している。飯田氏は「巡り合わせ。コーチとかチームの環境とか教え方、物の伝え方の違いでガラッと変わることがある。移籍はチャンスなんですよ。球界全体で活性化した方がいいと思います」と提言する。
(西村大輔 / Taisuke Nishimura)