個人練習は好きなメニューから 最速161キロ右腕を生んだ少年期の“プラス1”の日課
埼玉武蔵・由規投手兼任コーチ「個人練習は好きなメニューから」
最速161キロ右腕の原点となった練習は、どんな内容だったのか。NPBではヤクルトと楽天でプレーし、現在は独立リーグのルートインBCリーグ「埼玉武蔵ヒートベアーズ」に所属する由規投手兼任コーチが野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」のオンラインイベントに出演。上のステージで生きた個人練習に、重さの違うボールを使った壁当てを挙げた。
由規の身長は179センチ。プロ野球選手の中では決して大柄ではない。それでも、仙台育英高時代に157キロを計測し、ヤクルトでは2010年に当時の日本投手最速となる161キロを記録した。「TURNING POINT」のイベントでは、投手の基礎となった個人練習に壁当てを挙げた。硬式野球チームに入っていた小学生時代、毎日のように自宅の壁に向かって球を投げていたという。
「成長するにつれて硬式ボールは危なくなってきたので、軟式ボール、テニスボール、ドッジボールと重さの違うボールで壁当てをしていました。今思うと、体の強化や速い球を投げるきっかけになったと思っています」
壁に書いた的に向かって球を投げていると、感覚が磨かれていったという。「だんだん思い通りの球を投げられるようになって、試合でも不安は少なかったです」。どの種類のボールを投げる時も、全力を心掛けていた。
個人練習は課題を克服するために有効な時間となる。ただ、苦手な練習をするのはハードルが高い。由規は「選手には得意、不得意があります。子どもは特に不得意なことを避けてしまいがちですが、まずは自分がやりたい練習から取り組むことが大事です」と習慣化の大切さを強調する。
ヤクルトと楽天でプレーした経験から「活躍した選手はずっと球を握っているか、バットを振っています。僕は不器用でネガティブな性格なので、個人練習するしかないと思っていました」と語った。
由規は壁当てのほかにも、少年時代の習慣があった。チーム練習でダッシュや腹筋などを課されると、必ずノルマの数よりも1回多くこなしていたという。「周りよりも1回多く頑張る積み重ねで結果が良くなったと考えています。そのおかげかは分かりませんが、プロ野球選手になれた時、習慣にして良かったと思いました」。子どもの頃からの継続が、上のステージでライバルと差をつける力となる。
(間淳 / Jun Aida)
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