ボールを“使わず”球速アップ 小中学生にお勧め…体を自在に操る「3つの練習法」
投球で重要な日常生活に少ない動作 横向きジャンプで強化
一見、野球とは関係なさそうなトレーニングが球速アップにつながる。最速155キロを誇る野球指導者・内田聖人さんが都内で運営する野球アカデミー「NEOLAB」では、バットやボールを使わないメニューも多く伝えている。投手をしていれば、誰しも速い球に憧れる。小中学生は土台づくりの時間が、将来に生きてくる。
神経系の発達は、中学生年代でほぼ終了すると言われている。だからこそ、内田さんは小中学生のうちに動きのバリエーションを増やしていくのが大切だと考えている。プロも訪れる「NEOLAB」では、小学生にも様々なトレーニングを勧めている。
例えば、真横にジャンプを繰り返す「ラテラルジャンプ」には、投球フォームで大切になる横の動きを習得する目的がある。内田さんは「横向きの動作は日常生活ではあまりないので、意識的に強化する必要があります」と説明する。
ラテラルジャンプでは、コーンなど印になるものを2つ用意する。まずは、1つ目の印から全力で横方向へジャンプし、着地したところに2つ目の印を置く。この2つの印の幅で横向きのジャンプを繰り返す。「NEOLAB」でジュニア世代を指導する河内山拓樹さんは「着地した方のお尻に力をためるイメージで、足をついたらすぐに次のジャンプに入ります」と実演する。目安は8~10往復で、できるだけ真横にジャンプして着地の位置がずれないように気を付ける。
小学校低学年向けのメニューは他に「インチワーム」がある。四つん這いになって両足を伸ばしてお尻を上げ、足は動かさずに手だけを前に進めていく。お腹が地面につかない限界のところまで体を伸ばしたら、今度は膝を伸ばしたまま足だけを前に進める。この動きを繰り返すと、体幹や肩など上半身が全体的に鍛えられ、イメージ通りに手足を操る能力も向上するという。河内山さんは「早いうちにいろいろな動きを覚えると体を動かす感覚が良くなり、成長してから投球フォームをスムーズに直せるようになります」と話す。
また中学生向けには、お尻を回す「ヒップローテーション」がある。足は肩幅より少し広く開き、腕はクロスして胸の前で組む。右投げの場合、投球モーションと同じように左足を少し浮かせて着地して右側の股関節を回す。河内山さんは「前足の左足を固定して、股関節が回り始めてから右肩がついてくるイメージです。肩が先に回らないように注意してください」。投球に必要な筋力を強化し、ウエートトレーニングを本格的に始める高校への準備にもなるという。