ヌートバーが断言「僕に絶対欠かせない」 故障から復活へ…心支えた“精神安定剤”

「戦いの場に出ると、僕の頭の中には何かしらの音楽が鳴っている」

 昨年までの数年は、リル・モジーの「Blueberry Faygo」を使用していた。今季はラッパー、ルーペ・フィアスコの「Superstar」に設定。「シーズンの途中で変えるかもしれない」としながらも、とても気に入っているようでその理由を「ギャングスタ・ラップと違ってちょっと落ち着いたメロディーがすごくいいね」と話す。確かに力みを解きほぐしてくれそうな、強ばりのない快い律動を感じる曲だ。

 起床から就寝まで移ろう時間の中で、ヌートバーは仕事場であるフィールドにおいても、音で感情の起伏を上手にコントロールしているという。野球という競技は団体戦であるが、立つ打席、就く守備では孤独になる。その時々で浮かぶ音があるのだろうか。気になる。水を向けた。

「ひとたび戦いの場に出ると、僕の頭の中には必ず何かしらの音楽が鳴っている。いくつもの局面で変化する感情が連れてくるから、ずっと同じものじゃない。緊張を強いられる場面でなら、それを緩和してくれるような歌を口ずさむことだってある。さっき話したように、朝起きた気分で聞くものが変わってくるというのにも似ているかなぁ」

 音楽との相即不離が明らかになれば、演奏できる楽器を知りたくなるのが人情だ。照れ笑いを浮かべたヌートバーは、体の右側に挙げた両手を地面と平行にすると、右手を少し下げるポーズを取って、こう切り出した。

「子供の頃、家にはピアノがあってママがよく弾いていた。とても上手でね。ここまで言えばわかるよね。そう、兄と姉そして僕の先生になった。でもいちばん年下の僕は2人に後れを取ってしまい、途中からフルートにしたんだ。そう長くは続かなかったけれど、ちゃんと吹けるのがあるよ。童謡の『Hot Cross Buns』がそれ。その一曲のみ(笑)」

フルート演奏が原点「引退後は、音楽に関係したことをしたい」

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