野球で“強くなる”には？　初の全国4強…大学指揮官が重視する「人としての土台」

関甲新リーグで5連覇中だった上武大を撃破…全国舞台でも2勝をあげた

　グラウンド内だけでなく、野球から離れてもきちんとした行動を取る。普段から心を磨けば、自分から考えて行動するようになるし、野球の技術向上に繋がり、チームプレーにも結びつく。監督就任からナインに伝えてきたのは、そうした意識だという。

「練習量が豊富になったこともありますが、私自身、社会人野球でやってきましたから、挨拶や礼節を大切にして社会で通用する人間になってほしい。そういうことは、野球を通じてしっかり伝えたいという思いがありました。始めは選手たちも戸惑いがあったと思いますが、よくついてきてくれたと思います」

　もちろん大学生は、前年まで指導してきた高校生と比べれば“大人”。「考え方を尊重して、彼らが力を発揮できるようにやってきた」とも言う。そうした取り組みが実を結び、今春の関甲新学生リーグでは、5季連続優勝中だった上武大を破り全国の舞台でも環太平洋大、鹿屋体育大を破って初のベスト4に勝ち進んだ。

　明大との準決勝は藤田監督曰く「攻守の質の差」で敗れた。しかし、最後まで諦めずに戦った。「涙を流す選手もいました。この悔しさを次に繋げられるように」と指揮官は前を向く。

　日々の生活がプレーにつながる。技術を伸ばすのは一朝一夕にはいかないが、心を磨く意識は誰でもすぐに持つことはできるだろう。これから甲子園、神宮、さらにプロの舞台を目指す子どもたちにも伝えたい、指揮官の言葉だ。

（高橋幸司 / Koji Takahashi）