髪型自由、勝利より成長…高校球界の“変革”へ…名門率いる指揮官たちの「挑戦」
相手選手のファインプレーに選手たちがいち早く拍手
「日本の野球界をより良い方向に変えていく」をテーマに、少年野球、高校野球関係者らによる「CAMBIOベースボールミーティング」が先日、オンラインで開催され、約70人が参加して活動報告やディスカッションが行われた。今年の選抜大会に出場した高校球界を代表する名門校の監督も発言。従来の選手指導とは一線を画す、独自の指導論を展開した。
神奈川・慶応高校の森林貴彦監督は「“勝った負けた”だけではなく、高校野球の枠組みを変え、その価値を高めていきたい」と述べた。この1年間、ステレオタイプな高校野球の価値観のアンチテーゼとなる言葉を、あえて意識的に発信してきたという。例えば、「勝利至上主義」よりも「成長至上主義」、同調圧力的な「丸刈り頭」よりも丸刈り頭も含めた「自由な髪型」、「監督絶対」よりも「選手の主体性」、「トーナメント戦」よりも「リーグ戦」というようにだ。
そこには、野球の勝敗以上に「良いチームを作る、良い人材を輩出することが大事」という思いがある。練習試合や合同練習の終わりには両チームの選手同士による交流の場を設け、スポーツマンシップについても学ぶ。「高校生は吸収が早い。生徒たち自ら、公式戦でも相手のファインプレーにいち早く拍手しているんです」と森林監督。また、グラウンド外でもアフリカの野球振興に関わる活動などにも取り組む。そうした経験が「人を育て、いつか野球に返ってくる」と言う。
「これまでの日本の高校野球は“勝ち”を追求するものでしたが、これからは“価値”を求めることが大切。『高校野球を経験することで人生が豊かになる』と堂々と言えるように、“価値”を追求し、発信していきたい」と森林監督は力を込めた。