大人は「プレッシャーをかけないで」　元燕の盗塁王が説く…少年野球は“楽しさ優先”

負ければ終わり…心構えが変わる高校野球

　高校野球は、夏は一発勝負のトーナメント。「負けたら終わりなので、プレッシャーもかかってきます。チームとしてどんな形でも勝つ野球を全員でやらないといけません」。心構えが変わってくる。

　飯田さんは捕手だった拓大紅陵（千葉）3年時に選抜大会に出場し、本塁打を放つなど攻守に大活躍。直後の春季県大会も勝ち上がり、さらには関東大会でも優勝した。しかし、その後は夏の大会までの練習試合では起用されなかったという。

「監督さんが『調子に乗りすぎないように』と配慮されたのだと思います。野球がやりたくてやりたくてしょうがない意欲をかき立てる狙いもあったのではないでしょうか。試合に出なかった間は、バッテリーを組むピッチャーと共に走ったりしていました」

　絶対的な優勝候補として臨んだ夏の千葉大会。拓大紅陵は圧倒的な強さで春夏連続の甲子園を決めた。それでも「相手は負けて当たり前の気持ちで向かってくるので、本当に怖かった。体調管理はあまり気にしませんでしたが、持っている力をなかなか出せないのが一発勝負。走塁では次の塁を狙うとか、ボーンヘッドのようなミスはしないとか、チームとしての攻撃が大切だと思っていました。緊張感で眠れないようなことはなかったですけど」と懐かしむ。

「良い思い出です」と飯田さん。今の少年も高校生も、自分と同じ心境になれるように野球に取り組んでくれることを熱望している。

（西村大輔 / Taisuke Nishimura）