「後から活躍しやがって」 元指揮官もボヤいた恩返し…“冷遇”跳ねのけた完封劇

悔しげだった近藤貞雄氏「ドラ1で獲った時は活躍しなくて…」

「『あれは(走者に)合わせてましたよね』って聞いたら謙さんは『捕ったら絶対刺せるなと思う時は合わせていた』って。へーって思った。マウンドがあるからセンターからの(バックホーム)は一番難しいのに、そういうことまでできるんだからね。あれでアウトにしてくれてチェンジ。後にも先にも、俺の完投、完封はそれだけ。1点取られていたら、なかったんだからね」。平野氏には感謝しきりだ。

 もうひとつ、その試合が大洋戦だったのも鹿島氏にとっては印象深い。「大洋の監督が近藤貞雄さんだったからね」。登板なしに終わったプロ1年目。戦力として見向きもされず、悔しい日々が続いた時の中日監督に対して、完封勝利で力を見せることができたからだ。

「試合後に近藤さんは『俺がドラフト1位で獲った時は活躍しなくて、後から活躍しやがって』ってコメントしてくれていた。それもうれしかったね」。1986年の鹿島氏は24登板(9先発)で3勝4敗だったが、この初完投、初完封は大きな自信になったし、忘れられない思い出だ。

(山口真司 / Shinji Yamaguchi)

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