エース故障を教訓に…ガラリと変えた選手起用 関東王者が重視する“ストレスフリー”
健大高崎ではスマホ使用を解禁…練習後の使用を許可した
今年の春季関東大会を制した健大高崎。8日に開幕した第105回全国高校野球選手権の群馬大会では、15日に初戦を迎える。2002年の創部からチームを率いる青柳博文監督は時代に合わせて指導スタイルを変化。選手にとってストレスフリーの環境構築を最優先させている。
健大高崎を率いて今年で22年目。51歳の青柳監督の記憶に刻まれている苦い経験がある。2012年選抜で4強入り。さらに関東大会を制したが、大黒柱だった左腕・三木敬太投手に疲労骨折が判明し、夏は4回戦で姿を消した。そうした反省を踏まえ、現在は厳格に管理。「投手の起用法は全く変わりました」と語る。
練習試合では連投させない。週のはじめに週末の練習試合のメンバーを発表。その試合に合わせて調整、準備させ、実戦では100球をメドに変える。チャンスは平等。ブルペンで準備していたのに登板機会がなかったということもなくなり、投手のモチベーションは上がったという。
寮の部屋割りもかつては縦割りだったが、現在は原則同学年同士。「気を遣って野球に集中できないということがないように。自分のことに集中させたい。なるべく選手にストレスを掛けないようにしています」と語る。スマホも解禁した。朝に集めて練習後に返却。その扱いを巡っては時にトラブルの原因になるが、使用する上での禁止事項などを丁寧に選手に説明した上で許可している。
近年は意識の高い選手が集まるようになり、叱る回数も減った。例年なら5月か6月にベンチ入りメンバーを固めるが、今年は7月上旬にずれ込んだ。「3年生の意識が高かった。気持ちの部分が今年の強味かもしれません」と実感を込める。
“機動破壊”を経て2020年から“スペクタクルベースボール”を掲げる。「色々な場面で見せ場をつくり、常識にとらわれない楽しい野球を目指したい。選手層も厚くなってきたし、何とか日本一をという思いです」。関東王者の、日本一を目指す戦いが、いよいよ始まる。
(片倉尚文 / Naofumi Katakura)
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