中学野球で起きた“がばい旋風” 全国硬式No.1を佐賀県の2チームが争ったワケ
「1stエイジェックカップ」は佐賀県のチームが決勝で顔を合わせた
中学硬式野球5団体の王者が集った「1stエイジェックカップ 中学硬式野球グランドチャンピオンシリーズ」が28、29の両日に行われ、甲子園球場で実施された決勝戦にはポニーリーグ代表の「佐賀ビクトリー」と、フレッシュリーグ代表の「佐賀フィールドナイン」が進出した。佐賀県同士の頂上対決。“中学版・がばい旋風”が起きた背景を探った。
決勝戦は佐賀ビクトリーが佐賀フィールドナインに4-2で勝利。初代王者となった佐賀ビクトリーの古澤豊監督は「県が3年前から取り組んでいる『SSP(SAGAスポーツピラミッド)構想』の成果が着実に現れているんだと思います」と実感を込める。
佐賀県は2018年9月からスポーツ文化の裾野拡大、世界へ挑戦する次世代のトップアスリート育成に注力している。その一環として、中学硬式では3年前からポニー、フレッシュ、ボーイズ、ヤング、レインボーの5団体に所属する県内すべての硬式野球チームが競うリーグ戦を実施。所属団体の垣根を越えた佐賀県選抜チームを組み、2年前から県外の大会に参加している。
第1回大会は佐賀ビクトリー、第2回は佐賀フィールドナインが優勝を飾った。昨年、選抜チームを率いた古澤監督は「たくさん試合をして、佐賀県の力を高めるのが目的です。以前より子どもたちの交流が盛んになったように思います」と効果を語る。
夏の甲子園で鳥栖工が県勢10年ぶり勝利…強化進む佐賀県のチーム
県主導で練習環境の整備などが進められ、現れる成果。今回の“佐賀決戦”だけではなく、今年の夏の甲子園では鳥栖工が県勢10年ぶりの勝利を挙げた。
これまでは有力中学生が佐賀県外の高校に進学してしまうことが多かった。だが、リーグを超えた大会開催や選抜チームなど交流の場が増えたことによって、「一緒の高校に行こう」と選手同士で約束する場面をよく目にするようになったという。結果、有力選手が県内に留まるケースも増加傾向にあるようだ。
「佐賀県にも私学はありますし、伝統校の佐賀商業などもあります。将来的には佐賀県で野球をしてみたいと、県外からも子どもたちが来てくれるようになれば」。自宅がある福岡県から佐賀県に通い子どもたちの指導に力を注ぐ古澤監督は、佐賀県勢のさらなる躍進を強く願う。
佐賀県勢は、夏の甲子園では1994年に佐賀商、2007年に佐賀北が優勝を飾っている。今後の活躍が楽しみだ。
(喜岡桜 / Sakura Kioka)
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