一見“昔風”でも腰痛持ちゼロ 中学硬式強豪が実践…「筋肉が硬くならない」自重トレ
初開催の中学硬式野球5団体による頂上決戦で準Vの「佐賀フィールドナイン」
8月28日・29日、中学硬式野球の5リーグ覇者が参戦する「1stエイジェックカップ 中学硬式野球グランドチャンピオンシリーズ」が、大阪シティ信用金庫スタジアムと阪神甲子園球場で初開催された。どのチームの選手たちも、負けず劣らずの体躯を誇っていたのが印象的だった。
準優勝したフレッシュリーグ代表「佐賀フィールドナイン」は、3年間を通じてウエートトレーニングを一切していない。その理由について若林暁生監督は、「いい意見もありますが、筋肉が硬くなってしまうという逆の意見もあるんです。中学生だとうまくトレーニングができずに筋肉が硬くなって、それによって可動域が狭くなってしまうかもしれません。怪我をしやすくなるリスクがあるんです」と語る。
適切に行うことで、筋力アップや身体の柔軟性を高める効果が期待できるウエートトレーニング。しかし、筋肉量に見合わない過剰な負荷をかけ続けたり、ストレッチなどトレーニング後のケアを怠ると、柔軟性を低下させるリスクもあるとされている。
佐賀フィールドナインでは、「グッと歯を食いしばらないといけないほどではなく、ちょっと筋肉に負荷がかかる程度」に、丸太とタイヤ(約5~7キロ)を使ったトレーニングを行っているという。一般的にトレーニング期間とされる冬だけでなく夏にも、ボールを持たずにトレーニングだけを徹底して行う週を設けるなど、継続して適度な負荷をかけることで、屈強さと柔軟性を備えた身体をつくっているのだ。
1年生はまず硬球に慣れること…開始時期は2年生になってから
「丸太を支えながら走ったり、タイヤを押したり引いたりすることは、昔風と思われるかもしれません。けど、腹筋と背筋が自然とついて、体幹が強くなってくるんです。その結果だと思いますが、うちには腰痛持ちが1人もいません。一夜漬けではなく継続的に。自重で負荷をかけてトレーニングをしましょうと取り組んでいますね」と指揮官。
1年生については、これらのトレーニングを行わず、まずは1年をかけて硬式球に慣れるところから始める。2年生になってから通年の身体づくりを始め、チームトレーナーが週1回、選手たちの身体をチェックし、故障にも細心の注意を払っているという。
継続は力なり。選手それぞれの可能性を引き出すトレーニングが功を奏し、聖地での躍動につながった。
(喜岡桜 / Sakura Kioka)
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