中学生が高校野球で感じるギャップは「週6日の練習」 大切なオフシーズンの過ごし方
関メディベースボール学院の井戸総監督「実戦的な練習は1年間通して必要」
ボールを握らず体を鍛える“冬練”の概念は、存在しない。2つのリーグで全国を制覇する快挙を成し遂げた兵庫の中学硬式野球チーム「関メディベースボール学院」(以下、関メディ)では、気温が低くなる冬場の期間も実戦練習に時間を費やす。Full-Countでは、少年野球の現場を知る“凄腕コーチ”12人に取材。今回は、チームを率いる井戸伸年総監督が求めるオフシーズンの過ごし方に迫った。
関メディは野球界の“常識”にとらわれない育成方法で、多くの有望選手を輩出している。秋以降に公式戦がなくなるシーズンオフでもそこは変わらない。井戸総監督は「まず“冬練”という言葉に違和感を覚えます。走るだけ、筋力トレーニングだけ、打撃ではティーバッティングだけ……。実戦的な練習は1年通して必要だと思っています」と語る。
井戸総監督は大学、社会人を経て、2002年のドラフトで近鉄から指名され、プロでは3年間を過ごした。プロ入り前にはホワイトソックスとマイナー契約を交わし、米国の野球に触れたことで“価値観”が変わったという。
「米国や南米などでは1年間野球を続けている。夏や冬は関係ない。トレーニングの割合を増やしながら、常に実戦的なものを取り入れ、個々の出力を上げる。もちろん、日本の冬は気温も低く怪我のリスクも高くなる。ですが、しっかりと準備すれば問題ないと考えています。実際にチーム内で怪我をする選手はほとんどいません。スムーズに春のシーズンに入っていく選手が大半です」
11月から1月が成長期間…スムーズに高校野球に適応する環境を
オフシーズンと言われる11月から1月が、最も成長する期間と捉えている。特に中学3年生はクラブチームなどを引退しており、高校野球を始めるまでの“準備期間”。関メディでは高校に入学する直前までトレーニングを行い、スムーズに高校野球に適応する環境を作っている。
「試合に勝つことも重要ですが、うちのチームは上のカテゴリーで野球をやるための通過点。育成に重きを置いています。中学から高校に入って一番のギャップは週6日の練習。毎日野球をやることに耐えられない子どもたちは多い。入ってから怪我をしたり環境になじめず、力を発揮できないことがあります。だからこそ、そこに向けた準備が必要。例えば、週6日スパイクを履いてウオーミングアップするだけでも違ってきます」
野球を続け子どもたちが、どのような“将来像”を描いていくか。「野球はチームスポーツですが、個の強さは必ず必要。ゴールはどこに置き、何を目指すのか。子どもたちに問いかけながらの指導を心がけています」。そう語る井戸総監督は、27日から5夜連続で開催される「大人のための少年野球塾」に参加予定。冬の過ごし方次第で、ライバルたちに一気に差をつけることは可能だ。
中学硬式野球2つのリーグで全国制覇の快挙…井戸総監督も“参戦決定”!
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(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)
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