全国3冠達成…強豪が「勝ち続けられる」理由 “優しさ”で磨かれる状況判断力

「くら寿司トーナメント」で優勝した新家スターズ【写真:加治屋友輝】
「くら寿司トーナメント」で優勝した新家スターズ【写真:加治屋友輝】

「くら寿司トーナメント」優勝の新家スターズ…「気づきの徹底が野球につながる」

 全国3冠は決して野球の技術だけでは達成できない。掲げる理念「人間力」で勝ち取った栄冠だった。大阪の少年野球チーム「新家スターズ」が、9、10日に行われた「第4回くら寿司・トーナメント2023 第17回学童軟式野球全国大会ポップアスリートカップ星野仙一旗争奪」で、全国約1440チームの頂点に立った。

 今夏の「第28回高野山旗全国学童軟式野球大会」「高円宮賜杯第43回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメント」と合わせ、全国3冠の偉業。約1万チームある学童野球の中で「日本一」の称号を獲り続けることは至難の技だ。千代松剛史監督は、私生活の面から「気づき」の大切さを選手に説いている。

「ゴミが落ちていたらなぜ気づかなかったとか、電車でお年寄りがいたら、なぜこうしなかったとか。優しさも気づきの一つ。そういうところを徹底すると、自然と野球でも気づくことができるんじゃないかというので、つなぎ合わせている面があります」

 新家スターズは、火、水、木、そして土日と週5日間、練習や試合を行う。千代松監督は、長く選手と顔を合わせる中で、様々な「気づき」のヒントを与える。

「例えば、遠征でバスに乗っている時や、昼ご飯を食べている時、ホテルに泊まっているときとか、いろいろあるじゃないですか。その中で『なぜここに気づかなかったか?』という私生活の部分を結構うるさく言ったりしますね」

新家スターズの1番打者、宮本一希【写真:加治屋友輝】
新家スターズの1番打者、宮本一希【写真:加治屋友輝】

ワンバウンドですかさず二塁を陥れたリードオフ

「気づく」というのは、周囲がよく観察できているということ。それは、野球において相手守備の隙を突く走塁とリンクする。一瞬のファンブルを見逃さない、投手のクセを盗む、投球がワンバウンドになると予測して盗塁のスタートを切る……。「気づき」さえあれば、誰でも次の塁を陥れることが可能だ。普段の練習から5~15メートルの短距離ダッシュで走力を磨きながら、そういった状況判断も養わせている。

「もちろん子どもですから、バッティングが一番好きなので、まずは好きなことをすればいいと思います。ただ、勝つという目標のためには、走るとか、バントとか、そういう作戦も大事やぞっていうことは意識させています」

「くら寿司トーナメント」決勝の大崎ジュニアドラゴン(宮城)戦、2回、1番打者の宮本一希(6年)は一塁走者で、ワンバウンド投球ですかさず二進。さらに相手投手のモーションを盗んで三盗を決め「(盗塁は)狙えたら行っていいというようなことは言われています。走塁は去年からずっと教えてもらっていて、それが試合に出ているかと思います」と充実の表情を浮かべた。

「野球に関したら、やっぱり上手く気づけていなかったら、こういう成績は挙げられないと思うんですよ」。千代松監督は、偉業を成し遂げたナインを手放しで称える。全国3冠の自信と誇りを胸に、6年生たちは次なるステージへと上がる。

(内田勝治 / Katsuharu Uchida)

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