ピッチングの威力増す“しなり”の作り方 スマホ猫背はNG…解消に効く「鉄板ネタ」
野球塾運営する長坂秀樹氏が考案…芸人ギャグから発想のトレーニング
お笑い芸人のギャグに野球上達のヒントがある!? 中日・小笠原慎之介投手を指導した経験を持ち、現在は神奈川県藤沢市で野球塾「Perfect Pitch and Swing」を運営している長坂秀樹さんは、投球に生きるトレーニングを考案している。中には、オードリー・春日俊彰さんやサンシャイン池崎さんの持ちネタから発想を得たプログラムもある。
米国の独立リーグなど世界4か国でプレーした長坂さんは、現役引退後の2011年から野球塾を開いている。指導者を始めたばかりの頃はクラブチームを訪問する機会もあり、当時中学生だった中日・小笠原を指導した。長坂さんは球速やコントロールを向上させるため、自分の体を思い通りに操り、持っている力を最大限にボールに伝える体の使い方に重点を置く。
小学生に勧めるトレーニングの1つが「ダイナミックK」。投球でトップに入る時の動きにつながるプログラムで、反動をつけて肩甲骨を寄せて胸を開く。胸を張って投げることで腕が大きく回って遠心力がつくため、球速アップが期待できるという。
ダイナミックに両腕を開いて胸を張る動きが、春日さんのギャグ「カスカスダンス」に似ていることから、ネーミングに春日さんの頭文字の「K」を取った。長坂さんは「トップに入る時、ただ腕を上げる選手が多いです。胸から“もう1人の自分”が出てくるイメージで、反動をつけて胸を張りながら腕を上げると、投球に力が加わります」と説明する。
現役時代に最速152キロ…球速アップに取り入れたブリッジ
もう1つ、芸人のギャグをヒントにしたトレーニングが「サンシャイン」。サンシャイン池崎さんが体を反って大声を上げる「イェーイ」の動きを基にしている。
膝立ちになって頭を後ろに傾ける。そして、背骨を首に近い方からお尻にかけて順番にたたんでいくイメージで、体を反っていく。へそを天井に向けて、できるだけ頭を地面に近い位置まで倒す。そこから、今度は逆の動きで体を起こしていく。背骨を動かす感覚をつかむ目的がある。
長坂さんは、ブリッジの次のステップとして「サンシャイン」を位置付けている。ブリッジは胸郭と背骨を動かして、体にしなりをつくるために向いているトレーニングだという。現役時代に最速152キロを記録した長坂さんも、球速を上げるためにブリッジを取り入れていた。
「体を弓のように使って反動で投げられるようになると、スピードは上がります。特に今の子どもたちはパソコンやスマホを使う時間が長いので、背中が丸まりがちです。胸を張る、背中を反るトレーニングは大切になってきます」。長坂さんは退屈になりがちなトレーニングに子どもが親しみやすい名前を付け、投球に必要な基礎を強化している。
(間淳 / Jun Aida)
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