身長135cm、“大会最小”は「自分の個性」 元プロ認める万能ぶり「空振りしない」

打席に立つ日本ハムジュニアの福田愛斗【写真:小林靖】
打席に立つ日本ハムジュニアの福田愛斗【写真:小林靖】

出場選手中最も小柄な日本ハムJr.の福田愛斗選手…勇気を与える“奮闘”

 全国から選りすぐりの小学5、6年生が集まる「NPB12球団ジュニアトーナメントKONAMI CUP 2023」(26~28日)で、出場選手中最も小柄な選手が奮闘している。身長135センチ、体重31キロの北海道日本ハムファイターズジュニア・福田愛斗(まなと)外野手だ。

 出場選手中最長身の埼玉西武ライオンズジュニア・渡邊琥生投手の174センチに比べると39センチ低く、西武・中村剛也内野手の次男で最重量の同・中村航大内野手の81キロに比べると50キロ軽い。

 それでも福田くんは大会2日目の27日、神宮球場で行われた巨人ジュニア戦に「1番・中堅」でスタメン出場。ジャイアンツジュニア先発の最速129キロ左腕・藤森一生投手と対決した。

「山椒は小粒でもぴりりと辛い」というたとえがあるが、福田くんのスイングは実に力強い。初回先頭の第1打席では、カウント1-1から3球連続ファウルで粘った後、ライト方向へ痛烈なライナーを放った。相手右翼手のジャンピングキャッチに阻まれたが、「アウトにはなりましたが、ああいうライナー性の当たりを意識して練習してきたので、そこはよかったと思います」とうなずいた。チームは0-2で敗れたが、キラリと光る打撃だった。

 須永英輝監督は、就学前から球団が運営する「ファイターズ・ベースボールアカデミー」のスクールに通っていた福田くんの身体能力の高さをよく知っていて、満を持してのファイターズジュニア選出だった。「普段の打撃練習でも、練習試合でも、空振りをしない選手です。足も速く、1番として重要な素質だと思うので愛斗に託しました」と語る。

日本ハムジュニアでは不慣れな外野守備もこなした【写真:小林靖】
日本ハムジュニアでは不慣れな外野守備もこなした【写真:小林靖】

通算12HRのパンチ力…不慣れな外野をこなし両打ちにも挑戦中

 大人のような体格の選手がゴロゴロいる大会で、福田くんは「(ハンデと)感じるところもありますが、自分の個性と思ってプレーしています。小柄でもやっていけるぞ、というところを見せたいです」と口を真一文字に結ぶ。北海道旭川市在住で、普段所属している「東川大雪野球少年団」では「4番・サード」。通算12本塁打のパンチ力の持ち主でもある。

 実は外野守備の練習を始めたのは、ファイターズジュニア結成後という“新米”。須永監督は「いろいろなポジションを守れる選手だと見ていました。最初は対応に苦労していましたが、練習でどんどん取り組んで、落ち着いてプレーしてくれました」と称える。福田くん自身は「少し不安もありましたが、外野をやっているチームメートを見たり、プロの外野手を動画で見たりして学びました」と明かした。

 一方、この日は2打席とも左腕投手との対戦で披露のチャンスがなかったが、1年前から左打ちにも取り組んでいて、今大会にも「右投げ両打ち」として登録されている。「僕のセールスポイントは守備と足。左打席の方がセーフになる確率が高いですから。0.1秒の世界なので」と説明する。

 憧れはやはりドジャース・大谷翔平投手。他に自分に通じるタイプで目標とする選手として、西武・源田壮亮内野手、ソフトバンク・周東佑京内野手の名前を挙げる。2人とも“一芸”で侍ジャパンに欠かせない存在となった選手である。

 中学進学後も、硬式のボーイズリーグで野球を続ける予定。大会最低身長・最軽量選手の奮闘は、これから野球を始める子どもたちを含め、後輩たちに勇気を与えるはずだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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