上級生も驚き「本当に1年生?」 監督歴20年で「初めて」…愛知にいる13歳の“魅力”

愛知尾州ボーイズの丹羽祐聖【写真:木村竜也】
愛知尾州ボーイズの丹羽祐聖【写真:木村竜也】

2022年に中日Jr.で大会7HR…愛知尾州ボーイズの丹羽祐聖選手

 プロ野球選手と同じユニホームを着て戦える憧れの舞台「NPB12球団ジュニアトーナメント」を経験した子どもたちの多くは、中学の強豪チームでさらに成長を続けていく。2022年大会で中日ドラゴンズジュニアの主将として大会7本塁打を放った丹羽祐聖選手は現在、東海地方屈指の強豪チーム「愛知尾州ボーイズ」に所属。1年生ながら3番打者を任され、指導者も「ずば抜けている」と目を見張る。

 4年連続でボーイズリーグの春季全国大会出場を決めた11月の愛知西支部予選で、「3番・三塁」で先発出場。打率.550、3本塁打と大暴れしたが、丹羽は「思うようにいかない部分もありました」と貪欲に上を見る。3年生が引退し、1・2年生による新チームが今秋に始動した時から、3番を任されている。毎年のように名門高校へ選手を送り出している愛知尾州ボーイズで、1年生がクリーンアップを担うのは初めてだという。

 2004年から指揮する藤川正樹監督は「指導歴20年で初めてのことです。走攻守のすべてが揃っていて、チームでも2本の指に入るほどの打撃力。ずば抜けていますね」と、興奮気味に語る。極力子どもたちを色眼鏡で見ず、優劣をことさら強調しない指導方針のベテラン監督ですら、思わず「別格」だと言うほどの魅力。もちろんチームメートからの信頼も厚く、主将を務める2年生の小林大雅選手は「1年生ながらチームを引っ張ってくれて、本当に1年生かな? ってくらいです」と感謝する。

 打撃力もさることながら、守備にも自信を持つ。お手本は西武の源田壮亮内野手だと明かすところからも、守備へのこだわりが感じられる。1年生だけの試合では捕手としても活躍するが、自身の希望は遊撃手。そんなこだわりと高いポテンシャルを見込まれ、内野手を任されている。

 ただ、上手いだけの子なら他にもいる。藤川監督が特に目を細めるのは、内面やふるまい。下級生ながら、先輩にも遠慮せず指示を出す。「それでも全く嫌味に聞こえないというか。むしろ誰からでも慕われるんです」。人を選ばず、裏表なく接する。「性格が一番の魅力かもしれません」と言う。話をするときも、プレー中も、笑顔は絶やさない。「人から応援してもらえる能力があります。周りを自然とニコッとさせる」と今後の成長を楽しみにする。

 とはいえ、まだ中学1年生。少年期の成長スピードは人それぞれで、順風満帆にいくとは限らない。それを最も分かっているのは丹羽自身。今は先を見すぎず、仲間たちと楽しみ、勝利を目指す。「打撃が魅力的な選手になりたい。勝負強い選手になりたい」。真っすぐな思いで、白球を追い続ける。

(木村竜也 / Tatsuya Kimura)

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