侍J監督がとことん「本塁打を狙わせる」ワケ 胸に秘めていた“葛藤”…譲れぬ育成観
「侍ジャパン」井端弘和監督が語った小学生育成論…息子は長距離ヒッターに成長
侍ジャパンの井端弘和監督が、年末に行われた小学5、6年生による「NPB12球団ジュニアトーナメントKONAMI CUP 2023」(12月26~28日)を連日視察。優勝した横浜DeNAベイスターズジュニアの主将を務める長男・巧(たくみ)選手の応援を兼ねたものだが、報道陣の前で小学生世代の育成論を披露する一幕があった。
巧くんは大会2日目の27日に神宮球場で行われた東北楽天イーグルスジュニア戦で右中間へ豪快なソロ本塁打を放つなど、チーム7年ぶり2度目のVの中心として活躍した。
巧くんは小学6年にして167センチ、70キロの体格を誇る長距離打者。現役時代に“つなぎの打撃”を身上としていた井端監督は「僕とはタイプが全然違いますよ。僕は小学生の頃からバントがうまかったですから」と苦笑する。
「これから体がどう成長して、どういうバッターになっていくかはわかりませんが、子どものうちはどれだけ伸びるかわからないので、全員が飛距離を追い求めて、ホームランを追い求めればいい。そこが出発点だと思います」と持論を述べた。
井端氏は小学生世代の侍ジャパンU-12代表監督として2年連続W杯出場
長打を狙う姿勢を求めるのは、巧くんに限ったことではない。
「(小学生は)みんな、とことん、次の日は1メートルでも遠くに飛ばす気持ちでやってくれればいい。いつかは自ずと、選択肢が出てくると思う。その時に自分で考えることで成長すると思うし、うまくなると思います。やらされているようでは、なかなか……」
そして、「僕は子どもの頃から『バットを短く持て』と言われていましたが、やっぱり打ちたかったですし、長く持ちたいなと思っていましたよ」と付け加えた。
2022年と2023年には「WBSC U-12 ワールドカップ」に2年連続で小学生世代の侍ジャパンを率いて戦ったが、めったに送りバントのサインは出さなかった。「みんなに『ホームランを打て』と言っていました。その代わり『低めの球を打ってもホームランにはならないぞ。高めはホームランボールだから、どんどん行け』と伝えていました」と振り返る。
現在も本人の強い希望で、トップチームと侍ジャパンU-15(中学生世代)の監督を兼務しているだけあって、子どもの育成に関しては譲れない信念がある。自身の現役時代のイメージとは対照的なところが、なんとも興味深い。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)
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