投げ方で難しい「下半身主導」…楽しく覚えるには? 学童強豪、伝統の“処方箋”
全国7度出場の愛知・守山ボーイズは初心者への「正しい投げ方」を重視
全国大会に7度出場し、準優勝経験もある、1979年創設の愛知の小学生軟式野球チーム・守山ボーイズは、野球初心者や低学年の指導で投げ方の基本を大切にしている。怪我のリスクを高め、力もロスする典型として、「肘が下がったフォーム」とともに挙げるのが「下半身を使えていない動き」。チームには下半身の使い方を覚えるドリルがある。
守山ボーイズの山本次雄会長は、学童野球の指導歴が40年を超える。野球を始めたばかりの選手に対し、特に時間をかけて教えるのが投げ方。一度覚えたフォームを直すのは難しく、「小学生で覚えた投げ方は一生もの」と強調する。
守山ボーイズには他のチームから移籍してきた選手も、野球未経験の選手もいる。理想的なフォームを身に付けるため、チームでは数種類のドリルを繰り返している。前回の記事で紹介した肘をテーマにしたドリルに加えて、下半身の使い方を習得するドリルに取り組んでいる。
まずは、足を肩幅に開き、両手の力を抜いて水平に保ったまま投げるメニュー。上半身をひねって下半身主導で、約10メートル離れた相手に向かって球を投げる。この時、足の裏が地面から離れないように注意する。
野球初心者に多い投げ方と修正方法をリストアップ
2つ目は、上半身で反動をつけて軸足に体重を乗せてから、踏み出す足に体重移動するメニュー。山本会長は「体重移動する時は、軸足の内側に力をためます。軸足の膝が外側に流れて力が逃げないようにします」と話す。
体重移動を覚えるメニューは他にもある。両腕を前方向に回し、その勢いを軸足に乗せてから投げるというもの。投げ終わった時に踏み出した足の1本で立つイメージを持って、体重を軸足から移動させる。
守山ボーイズでは野球初心者に多い投げ方と、その修正方法をリストにまとめている。例えば、リリースポイントが後ろ過ぎたり、遠くに投げようとすると球が浮いたりしてしまう選手には、ワンバウンド送球の練習を“処方箋”にしている。どこで球を離せば低く強い送球になるのか、リリースポイントの感覚を養う狙いがある。
野球経験の浅い小学校低学年は、体の仕組みや使い方を説明されても理解するのは難しい。ポイントを押さえたドリルは、楽しみながら理想の投げ方が身に付くメリットがある。
(間淳 / Jun Aida)
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