週に1度の“脱落者”…みるみる減る仲間たち 上沢&筒香が挑む「キャンプ招待選手」

レイズ・上沢直之(左)とジャイアンツ・筒香嘉智【写真:荒川祐史、喜岡桜】
レイズ・上沢直之(左)とジャイアンツ・筒香嘉智【写真:荒川祐史、喜岡桜】

藪恵壹氏「とにかくOP戦で打たれたら終わり。1試合許されても2度はない」

 レイズとマイナー契約を結んだ上沢直之投手、ジャイアンツとマイナー契約を結んだ筒香嘉智外野手は、スプリングトレーニングに招待選手として参加する。阪神やメジャーリーグなどで活躍し、かつて「招待選手」を経験した藪恵壹氏がFull-Countのインタビューで、「相当厳しい」という現実を語った。

 入れ替えが少ない日本の春季キャンプとは全く違う。「米国は集められるだけ集めておいて、ふるいにかけるのがスプリングトレーニングの趣旨。とにかく結果次第。結果を出さないと、1週間に1回ずつカットされていったので、26人で投手13人としたら、2、3人しか残れない。確率は3%から5%でしょうね」と藪氏は説明する。

 自身も2008年にジャイアンツとマイナー契約を結び、招待選手でスプリングトレーニングに参加した。この年は開幕ロースター入りを果たしたが「同じような立場の選手が20人くらい集められて、落とされていく。本当にギリギリのところでやっていました。それは大変でしたよ」と振り返る。

 60人ほどいた選手は、みるみる減っていく。「とにかくオープン戦で打たれたら終わり。1試合は許されても2度はない」というように、5試合投げて2回打たれた選手は外される傾向にあるほどシビアだった。

ド軍監督はDFAの2日後に引退…「辞めてしまうベテランも少なくない」

 当然ローテーションが決まっているような選手は1イニングからじっくりと段階を踏んで調整していく。しかしアピールする立場の招待選手は「そんな悠長なことは言っていられないから、先発だったらいきなり2イニングとか、そういうのにもどんどん対応していかないといけない」と難しさは増す。

 仮に開幕ロースターに入れなければどうなるのか。藪氏は2009年にはメジャー契約を勝ち取るも開幕前に事実上の戦力外(DFA)を経験。同じ日にDFAとなったデーブ・ロバーツ氏(現ドジャース監督)は2日後に現役引退を決めた。

「ロバーツのように、開幕ロースターから漏れたら辞めてしまうベテランも少なくない。マイナーに行ったら、2週間くらいで上で誰かしら打たれて入れ替えの時期がくるので、そこで自分の名前が出てくるところにいられるかどうか。あとは例えば最初の2か月で1回も上がらなかったら6月にFAになれるとか色々な契約条項を持っている選手がいるので、そういうときにどうかですね」

 上沢にとっては初めての経験。日本と違う滑りやすいボールや硬いマウンドなどに適応する必要があるが、その時間は多くない。ましてや言葉の壁や食事面など環境の違いもある。“狭き門”をくぐり抜けて、メジャー切符を勝ち取ることはできるのだろうか。

(町田利衣 / Rie Machida)

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