消える303勝左腕「何度もトライした」 元MLB右腕が忘れられぬ3人…暴けなかった秘密

ジャイアンツ時代のランディ・ジョンソン氏【写真:Getty Images】
ジャイアンツ時代のランディ・ジョンソン氏【写真:Getty Images】

藪恵壹氏はランディ・ジョンソン氏のトレーニングを「見てやろうと…」

 阪神やメジャーリーグなどで活躍した藪恵壹氏は、通算303勝を誇ったランディ・ジョンソン氏ら数々のレジェンド選手とともに戦った。Full-Countのインタビューでは“伝説の左腕”の秘密や、衝撃を受けた打者などを語った。

 2009年、ジョンソンはダイヤモンドバックスからジャイアンツにやってきた。最多勝1度、最優秀防御率4度、最多奪三振9度、さらにサイ・ヤング賞5度……。数々の功績を誇る左腕が同僚となり、藪氏も興味津々だった。

 いつもトレーニング場で1人黙々と練習する姿に「興味あるじゃないですか。だからどんなトレーニングをしているのか見てやろうと思ってウエアに着替えて入っていくと、パッといなくなってやめてしまう。何度もトライしたけど、見られずじまいでした。自分のトレーニングに関して、人に見せたくないんじゃないですかね」。

 メジャー22年間で4875奪三振を生み出す体づくりを暴くことは、最後までできなかった。しかし2005年、アスレチックス時代の藪氏は、対戦相手だったヤンキース時代のジョンソンの珍しい一戦を目撃。「初めて三振を1個も取らずに勝利したんです。それでもランディが勝ったんですけどね」と振り返った。

ジャイアンツ時代の藪恵壹氏【写真:本人提供】
ジャイアンツ時代の藪恵壹氏【写真:本人提供】

左腕ジトのカーブに衝撃「グワンと曲がってきてストライクになる」

 アスレチックスとジャイアンツでチームメートだった左投手のバリー・ジトのカーブは最も衝撃を受けた球だった。「真っ直ぐは88マイル(約142キロ)くらいしか出なかったですけど、カーブがビックリするくらい曲がる。クソボールかなっていうゾーンからグワンと曲がってきてストライクになる。あれはかなり印象に残っていますね」とうなった。ジトは15年間で433試合に登板し、165勝143敗、防御率4.04という成績を残し、2002年には23勝で最多勝を獲得し、サイ・ヤング賞に輝いている。

 一方で、対戦相手として「最も凄かった」というのが、レッドソックスなどで通算541本塁打を誇るデビッド・オルティスだ。「フォークしか通用しなかった。ツーシームもフォーシームもカットボールも全部打たれたイメージで、右中間方向に本塁打されそうなのもありました。左の縦スイングの典型だったので、全部フォーク。落とす球で一ゴロとか、そういう勝負をするしかありませんでした」。

 歴代4位の通算703本塁打を放ったアルバート・プホルスや、通算2590安打&449本塁打を記録し、2018年に米国野球殿堂入りしたブラディミール・ゲレーロとの対戦も印象深い。「ゲレーロにはあまり打たれていないですね。打ってくるなというところで内角にツーシームを投げたら打ち上げて内野フライとか。ほとんど1球か2球で終わっていたし、いい当たりは1本もなかったんじゃないですかね」と胸を張った。

(町田利衣 / Rie Machida)

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