兄弟で早慶進学→計4度甲子園の“コツ” 天井に貼り付けた紙…意識高める「導き」
兄・鈴木裕司さんは慶応、弟・健介さんは早実で聖地…中学で培った「メリハリ」
野球と勉強を両立させてきた選手は、どのようなスケジューリングをしながら学校生活を送っていたのだろうか。慶応義塾高(神奈川)OBの兄・鈴木裕司さんと、早稲田実業(西東京)OBの弟・鈴木健介さんは、ともに文武両道を貫きながら難関校に合格し、春夏2度の甲子園に出場した実績を持つ。Full-Countでは「甲子園球児の育ち方・育て方」をテーマに、甲子園へ導いた元監督や、元球児、その保護者にインタビュー。鈴木兄弟が、「目標設定」と「メリハリ」に重点を置いた鈴木家の教育方針を振り返ってくれた。
埼玉県鳩ヶ谷市(現川口市)出身で、2歳違いの兄弟は、中学時代、平日は学校の軟式野球部で部活動をしながら、土日は越谷シニアに所属した。3年時には裕司さんが関東選抜に選出、健介さんはU15日本代表で世界ユース選手権に出場し、優秀選手賞を受賞するなど世界3位に貢献。野球でメキメキと頭角を現し、互いに複数の強豪校からオファーがあった。
ただ、野球に劣らない熱量で、勉学にも力を入れていた。裕司さんも健介さんも、埼玉の公立校野球部で監督を務める父・久幹さんから、「人としての成長があっての野球。勉強をやらないのであれば、野球はやめなさい」と口酸っぱく言われてきた。
「学校の勉強は100%で取り組みなさいと言われていて、しっかりと点数を取るために自分で考えて勉強しなさい、というのが鈴木家の教えでした。2人とも野球が好きだったので、『勉強も頑張るので野球を続けさせてください』というスタンスでした」(裕司さん)
反抗期はあったが…両親への感謝「歳を重ねるたびに増しています」
通常時は野球に明け暮れ、帰宅後も父にお願いしてティ-打撃を500球ほどずつこなす。それが試験1週間前になると、野球の練習は一切禁止。中学で国語教師を務める母・敦子さんから課されていたノルマは、5教科であれば500点満点中、450点以上を取ること。その目標を達成するため、逆算してスケジュールを立て、深夜まで机に向かった。平日=中学校の部活動、土日=シニア、試験期間=勉強の“三刀流”に分けて考えることで、「本当にメリハリのある中学時代を送れました」と健介さんは話す。
「目標を定めることが凄く大事だなと改めて感じています。『450点』という学校の試験の目標や、『中学日本代表に入る』ということを壁や天井に貼っていました。目標を達成するために今、何をやるべきか、ということを中学当時から考えられたのは大きかったです」
野球と勉強の両立は、そう簡単ではない。多感な青春時代。遊びの誘惑に負けてしまうことだってあるだろう。裕司さんは「子どもが自分の意思だけでやるのは難しい」とし、親のリードの重要性を強調する。
「小・中学生の時は、親がある程度リードしてあげることで、子どもの勉強に取り組む“意識”や“姿勢”の土台が出来上がる。子どもたちも、最初は強制かもしれないですけど、自ら考えてスケジュールを立てて主体的に行動することで、こういう風にやったら成績が上がるというコツがわかってきます」
少なからず反抗期もあったというが、今となっては「親への感謝の気持ちが歳を重ねるたびに増しています」と声をそろえる。鈴木兄弟は4月1日から5夜連続で開催される「甲子園予備校」にも参加予定。文武両道の秘訣を、余すことなく披露する。
兄弟で甲子園出場、鈴木裕司さん・健介さんも“参戦決定”!
Full-Countと野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」では、4月1日(月)から5夜連続(午後8時から)で、オンラインイベント「甲子園予備校」を開催します。甲子園出場経験のある監督、選手と保護者がYouTubeライブに登場。指導方法や練習方法、日頃の生活習慣など、自身の経験を基に、夢や目標を叶えるための対策や準備についてヒントを授けます。参加費は無料。詳細は以下のページまで。
【甲子園予備校・詳細】
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(内田勝治 / Katsuharu Uchida)
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