守備上達の大前提…グラブを美しく保つ基準 カサカサや“重たい”を防ぐ「最終手段」
「ゼビオジュニアベースボールフェスト」でグラブお手入れ講習会を開催
グラブの手入れを怠ってカサカサになったり、汚れを落とさないまま使用し続けて重たくなったりした経験はないだろうか。お気に入りのグラブは、常にベストな状態をキープし続けることが長く愛用する秘訣だ。ただ、野球を始めたばかりの頃は、具体的にどのような手入れをすればいいか、わからない子どもたちも多い。
今月13日に東京・新宿区の明治神宮外苑軟式野球グラウンドで開催された「ゼビオジュニアベースボールフェスト2024」では、小学3年生以下の16チーム、約200人の子どもたちがTボール形式で試合をする横で、グラブのお手入れ講習会が行われた。スポーツ用品を取り扱うゼビオグループのヴィクトリア三鷹店の藤澤貴夫さんが、野球エントリー世代へ、丁寧にグラブの磨き方を教えていた。
「まずは汚れているところをタオルでしっかり磨いて落としてください。汚れが落とせたら、親指の爪くらいの量のクリームやオイルを薄く伸ばしていきます。これが中途半端に表面に浮いているとボールが滑るから、しっかり磨き込んでくださいね」
藤澤さんの教え通りに手入れしていた子どもたちから、「めっちゃきれいになった!」と感動の声が上がる。しっかりとオイルが塗り込まれたグラブは、真夏の太陽を反射して新品同様の輝きを放っていた。
汚れがついたままの保革は重くなる原因に…「キッチンの油汚れと一緒」
重要なのは、まずブラッシングなどでしっかりと汚れを落とすこと。汚れが残ったまま保革クリームなどを塗り込むと、革にしっかりと浸透せずに、グラブが重くなる原因になると藤澤さんは言う。
「表面に油分が浮いている状態は、キッチンの油汚れと一緒です。汚れ、油、汚れ、油と重なっていって、油分がクリアになっていないからグラブは重くなっていきます」
しかし、平裏部(グラブをはめた時に手の平が当たる部分)が手汗を大量に含んでいたり、大雨で泥まみれになった場合、汚れを落としきれないケースもあるだろう。藤澤さんは“奥の手”として「水洗い」を提唱する。
「シャワーをかけると、汚れも落ちるし、油分も抜けて軽くもなります。革製品は水が大敵と言われていますけど、革専門のクリーニング屋さんは水で洗うんですよ。一度リセットして、陰干し、オイルを塗るなどの処理をしっかりすれば、洗っていいです」
しっかりと手入れできているかどうかは、「一緒に布団で寝ることができるか」が基準だ。汚れや油分をきれいに拭き取っていれば、布団やシーツが汚れることもない。野球歴43年、実に43個のグラブを所有する藤澤さんは、しばしば左手にはめたまま寝落ちすることもあるという。
「グラブという『物』で考えるのではなく、自分の手の一部として考えてほしいです。僕は右利きなので、グラブは左手の代わりをしてくれます。体の一部だと思ったら、汚れは落とすし、ハンドクリームを塗りますよね。その要領で扱ってほしいです」
グラブとの縁は、野球をやる限り、いつまでも続いていく。愛情を持って“相棒”と接することが、名プレーヤーへの第一歩だ。
(内田勝治 / Katsuharu Uchida)
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