元プロが注視する”技術以外”の面とは? 「一生の肩書き」NPBジュニア選出の条件
2024年のオリックスジュニアを率いるのはOBの塩崎真監督
毎年12月に開催され、逸材小学生たちの“プロへの登竜門”とも呼ばれる「NPB12球団ジュニアトーナメント KONAMI CAP 2024」は、今年で20回目の節目を迎える。これまで数々のプロ野球選手を輩出してきた同大会は、各球団16人の精鋭たちが頂点を目指していく。今回はオリックスジュニアを率いる塩崎真監督に話を聞いた。
これまでオリックスジュニアからは森友哉捕手、ロッテ・藤原恭大外野手、昨年ドラフト1位でソフトバンクに入団した前田悠伍投手らを輩出し、今年も、4月から開催中の「セノッピー presents 第21回オリックス・バファローズCUP2024少年少女軟式野球大会」出場チームの選手からの選考を進めている。
同大会から動画で応募する「デジタルチャレンジ」を通過すると、実技によるセレクションを行い16人が決定する。監督、コーチなどを含め、ジュニアチームに関わり今年で8年目を迎える塩崎監督は、「12月の大会を見据えて選手を選考する必要があります。小学生の成長スピードは凄い。選考開始から約8か月後の大会にどれだけの動きができるか。その点も考えないといけません」と口にする。
指揮官の選考基準で最初に注目するポイントは「キャッチボール」だという。試合を行う上で投手、野手を含め最も大切な基本動作。10月のチーム結成時から、大会までの準備期間は約3か月と短いだけに、「短期間のなかで、投げることに関してはあまり修正を加えたくない。そのなかで(対応できる)基礎能力を重視します」と、求めるスキルを挙げた。
NPBのユニホームを背負うプライド「自覚と覚悟を持って挑んできてほしい」
「デジタルチャレンジでは、普段の姿が見えません。プレー以外の立ち振る舞い、上手くいかない時の態度など、実技ではそこを重点的に見ますし、バファローズカップでもベンチの姿などは注視しますね。チームを鼓舞できたり、声で周りを盛り上げたり。野球が上手くなりたい思いを体現できる子は、カテゴリーが上がってもやっていけると思います」
技術面もさることながら、NPB球団と同様のユニホームを着用する“プライド”も持ってほしいと言う。300人を超える腕自慢の中から選ばれるのは、わずか16人。中学、高校と順調に成長していく選手もいれば、プレッシャーに押しつぶされ野球を断念する選手もいる。
「ジュニアに選ばれると、その肩書は野球を続ける上で一生、背負っていかないといけません。ただ、入りたくて入れるものでもない。周りの見る目も変わり、重圧になる場合もありますが、自覚と覚悟を持って挑んできてほしいですね」
オリックスジュニアは、森を擁した2007年を最後に優勝から遠ざかっている。「子どもたちが持っている野球観を前面に出してもらい、こちらがしっかりサポートしていきたい」と塩崎監督。今年こそはチーム全員で、2度目の頂点を奪いに行く。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)
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