甲子園4強に顔ぶれ多数 中学で基本注入→高校で開花…注目集める“青森山田メソッド”

中学硬式の強豪・青森山田リトルシニア【写真:片倉尚文】
中学硬式の強豪・青森山田リトルシニア【写真:片倉尚文】

今夏甲子園4強の青森山田は“中高一貫指導”…中学全国V戦士が多数在籍

 今年の高校野球で、強いインパクトを残した学校の1つが青森山田だろう。選抜大会は8強、8月の選手権大会は4強に進出した。躍進の要因に挙げられるのが“中高一貫指導”で強化に当たっていること。中学硬式野球「青森山田リトルシニア」を率いる中條純監督は「素晴らしいシステム」と語る。

 第106回全国高野球選手権大会で長野日大、石橋(栃木)、滋賀学園を撃破し、初の準決勝に進んだ青森山田。ベンチ入り20選手のうち、主将の橋場公祐捕手や、大型遊撃手の吉川勇大内野手ら実に10人が青森山田シニア出身だった。

 青森山田中学校の生徒が所属する青森山田シニアは、2021、2022年のリトルシニア日本選手権で連覇を飾っている。中学年代で全国の頂点を経験した選手が、上のカテゴリーに上がって活躍する。理想的なシステムが構築されているわけだ。

 2015年からチームを率いる中條監督は「高校と緊密に連携を取りながら選手育成を進めています。上のレベルを目指す上で素晴らしいシステムだと思っています。いつか中学高校、同時日本一をかなえられたらと……いや、なれると思っています」と力を込める。

青森山田リトルシニアの中條純監督【写真:片倉尚文】
青森山田リトルシニアの中條純監督【写真:片倉尚文】

中学世代で基本習得を徹底…主眼は高校で活躍できる選手の育成

 中條監督によると、中学生を指導する上で重視しているのは「基本」。ベースランニング、ステップワークなど細かい部分をしっかり教え込む。ウエートトレーニングは行わない。「体は高校生になれば大きくなります。その時に羽ばたけるように基本を教えています。選手にはたくさんの引き出しを持ってほしい。高校、大学で活躍できる選手を育てることが使命だと思っています」。

 こうした観点から、時には厳しく選手と向かい合うこともある。中学できっちり教え込んで高校へ送り出す。その軸をぶらすことなく指導に当たっている。特徴的なのは、高校は長髪だが、中学は丸刈りを持続していることだ。

「中学、高校どっちもノビノビはどうなのかと……。ここ(中学)はしっかりやって、高校はノビノビ。選手たちには『むかつくべ、今は我慢だぞ』と言っています」と笑みを浮かべる。

 中学の中條監督と高校の兜森崇朗監督が連携して進める“青森山田メソッド”。このような形は珍しいだろうが、中学世代で基本を教え込んで高校に送り出すという点は、多くの中学指導者の参考になるだろう。

 青森山田はシニアは今年も、ジャイアンツカップで4強入りを果たすなど成果を残している。“中高同時優勝”は、もはや夢ではない段階に進んでいる。

(片倉尚文 / Naofumi Katakura)

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