プロ野球選手に「並大抵ではなれない」 “遅咲き”指揮官が小学生に伝える「挫折体験」
楽天ジュニアの寺岡寛治監督が期待する“逸材小学生”たちの可能性
12月26日、セ・パ12球団と同じユニホームを着た小学生たちが頂点を競う「NPB12球団ジュニアトーナメント KONAMI CUP 2024 ~第20回記念大会~」が開幕する。2006年と2018年に優勝した東北楽天ゴールデンイーグルスジュニアを今年から率いるのは寺岡寛治監督。投手として5年間楽天でプレーした経歴を持つ指揮官は、「NPBジュニアの子たちは全員プロ野球選手になる可能性を秘めているので、プロを最終目標にしてほしい」と力を込める。
20回の節目を迎える今大会はこれまで、ソフトバンク・近藤健介外野手(ロッテジュニア)、パドレス・松井裕樹投手(DeNAジュニア)、中日・高橋宏斗投手(中日ジュニア)ら名だたるプロ野球選手を送り出してきた。楽天ジュニアは投打二刀流での活躍が期待されるDeNA・武田陸玖外野手らを輩出。今年も将来有望な16人がそろっている。
寺岡監督は「プロに行くためには、どれだけ自分に厳しくできるかが大切。並大抵の努力でプロ野球選手になれるわけがない」と話す。教え子たちには「今意識してやっていることを無意識にできるようにしよう。『無意識』の数をどんどん増やそう」と日頃から発破をかけている。
東海大五高(現・東海大福岡高)、九州共立大を卒業後に進んだ九州三菱自動車を2年で退社し、独立リーグの石川ミリオンスターズを経て25歳でNPB入りした寺岡監督の言葉には説得力がある。
1年前に“落選”も…「諦めない心」貫いた2人の有望株
「僕は挫折しても諦めずに這い上がって、やっとの思いでプロ野球選手になった。夢を叶えたかったら諦めるなと、自分の経験談をまじえながら伝えています」と寺岡監督。高校で右肘を故障した影響で投手から外野手に転向し、社会人時代に上を目指すため投手に再転向するなど、試行錯誤を繰り返して夢をつかんだ過去がある。
野球の指導をする時間だけでなく、楽天野球団主催の野球塾で宮城県内を中心とした小・中学校を訪問した際も自身の経験について話す。「諦めない心」を持ち続けることが夢への近道だと確信しているからだ。
楽天ジュニアで投打の柱を担う安田優芯投手(6年=秋田・羽城ジュニア野球スポーツ少年団)と高橋樹内野手(6年=福島・三春軟式野球スポーツ少年団)はともに1年前、楽天ジュニアのセレクションで落選する「挫折」を経験した。
安田くんは走り込みや投げ込みに励んで直球の最速を110キロ前後から120キロ台後半まで上げ、高橋くんは「食トレ」で体重を増やして長打力を磨いた。落選した際は落ち込んだというが、「諦めない心」が1年越しの目標達成につながった。安田くんはメジャーリーガー、高橋くんはプロ野球選手が将来の夢。寺岡監督のもと、小学生の段階から夢を叶えるための心構えを学ぶ。
(川浪康太郎 / Kotaro Kawanami)
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