最速123km逸材親子の覚悟「一緒にやり切る」 野球人生に刻む“片道4時間半”の絆

DeNAジュニアの安達源太郎【写真:高橋幸司】
DeNAジュニアの安達源太郎【写真:高橋幸司】

新潟から通うDeNAジュニア・安達源太郎は投打&“昭和の歌姫”も歌える「三刀流」

 遠方からでも、通うだけの価値がDeNAジュニアにはある。26日から開幕する「NPB12球団ジュニアトーナメント KONAMI CUP 2024 ~第20回記念大会~」(神宮球場、ベルーナドーム)に出場する横浜DeNAベイスターズジュニアのメンバーの多くは、地元・神奈川県や東京都内のチームに所属する選手で構成されている。その中で、主戦右腕としての活躍が期待される安達源太郎選手(6年=石川ビクトリーズ)は、新潟県加茂市から横浜まで通い、仲間と共に汗を流している。

 今大会は20回を記念し、12球団に加え、今季から2軍戦に参入したオイシックス新潟アルビレックスBCや、くふうハヤテベンチャーズ静岡など4チームが招待を受けた。もちろん、地元のオイシックス新潟の選考受験も選択肢にはあったが、DeNAにこだわったのには訳があった。

「新潟の日本文理高からDeNAに入った飯塚悟史さん(現球団職員)に憧れていたので、その球団のジュニアに入りたいと思いました。投球フォームもちょっと真似しています」

 飯塚さんは2014年夏の甲子園でチームを4強に押し上げた立役者。DeNAでは7年間の現役生活で通算2勝を挙げた。地元のスターが袖を通したユニホームに親近感を抱いていったという。

 週末の活動の際、新潟から神奈川までは、母の里枝さんが車のハンドルを握り、片道4時間半から5時間半をかけて通った。愛息からDeNAジュニアのセレクションを受けたいと打ち明けられた時は、「応援するよ」と背中を押した。

「選んでいただけたのであれば、『一緒にやり切るぞ』という覚悟でした。まさか受かるとは思っていなかったので、ビックリしました。1週間全く休みはないですが、子どもが頑張っているので、それが自分の頑張る力になっています。親にとっては、人生のご褒美をいただいたと思っています」

『飾りじゃないのよ涙は』を熱唱する安達【写真:高橋幸司】
『飾りじゃないのよ涙は』を熱唱する安達【写真:高橋幸司】

円陣では中森明菜さんの楽曲を熱唱…チームの盛り上げ役も

 自宅では、父の昇栄千(しょうえいち)さん手作りの、ブルペンを完備したビニールハウス練習場で実力を磨き、最速は123キロまでアップ。打撃にも自信があり、背番号は大谷翔平投手(ドジャース)と同じ「17」を背負う。チームでは副主将に任命され、円陣では「TikTok」を通して覚えたという中森明菜さんの楽曲を熱唱するなど盛り上げ役も担う。

 荒波翔監督は、安達くんに投打はもちろん、ベンチワークも含めた「三刀流」の働きを期待している。

「彼の投げるボールは、ほとんどが110キロを超えてくるので、基本的には先発として。打つ方も結構大きな打球を打つことができます。性格も凄くいい子で、練習の時から歌を歌ったりして場を和ませたりと、ムードメーカーでもありますね」

 安達くんの将来の夢は「ベイスターズに入ってプレーすること」。その前に一足早く、憧れのユニホームに身を包んでプレーできることに喜びを感じている。

「チームは全員明るくて、1人1人の個性もすごく出ています。みんなから“お祭り男”と呼ばれているので、それを生かして、どんなに暗い時でも盛り上げていけたらと思っています」

 支えてくれる家族、そして新潟から自分を受け入れてくれたチームへの感謝を胸に、懸命なプレーと明るい声でナインを鼓舞していく。

(内田勝治 / Katsuharu Uchida)

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