用具が高くて「断念する子も」 競技人口減阻止へ…WBC戦士たちが設る“野球の入口”

野球教室を実施した大西宏明氏、中島宏之、小松聖氏、近藤一樹氏(左から)【写真:橋本健吾】
野球教室を実施した大西宏明氏、中島宏之、小松聖氏、近藤一樹氏(左から)【写真:橋本健吾】

オリックスの小松スカウト、前中日の中島ら4人のNPB経験者が子どもたちを指導

 プロ野球を経験したからこそ、誰もが野球を楽しめる環境を作っていく――。体験型の野球イベント「enjoy baseball Japan」が12月26日、兵庫県のベイコム球場で行われた。オリックスの小松聖スカウトが中心となり、4人のNPB経験者が子どもたちに野球の楽しさを伝えた。

 今回のイベントは午前、午後の2部体制で行われた。午前の部では神戸市内の児童養護施設・母子生活支援施設で暮らす子どもたちを招待。2009年の第2回WBCでチームメートだった前中日・中島宏之内野手、元ヤクルト・近藤一樹さん、元ソフトバンク・大西宏明さんの計4人がコーチとなりティー打撃、ピッチング、守備などを指導した。

 グラウンドでの野球体験だけでなく、隣接するアリーナではチャリティーブースを設置。飲食スペースやヘアメイク美容体験、アクセサリー作りなど様々な体験ブースが並び、招待された子どもたちは笑顔溢れる1日を過ごした。

「enjoy baseball Japan」は今年6月(ほっと神戸)に続き2度目の開催。野球などを通じ次世代を担う子どもたちの未来へ繋がるプロジェクトで、発起人の小松スカウトは「技術指導というより、まずは野球を楽しんでもらう。子どもたちの喜ぶ、楽しむ顔を見られて良かった」と振り返った。

「僕たちは野球を通じてできることがある」と小松氏【写真:橋本健吾】
「僕たちは野球を通じてできることがある」と小松氏【写真:橋本健吾】

「誰もが手軽に『やってみよう』と思える環境を作るのは、大人の仕事」

 午後の部では一般枠として野球教室も開催。小学校低学年には主に、柔らかいバット、ボールなどを使い“遊び感覚”で取り組むことを意識した。昨今は野球人口減少が深刻化するなか「今は公園でも簡単に野球ができない。野球離れというか、その環境下にいない。まずは野球に出合わせてあげることが大事なのかもしれない」と、身近に触れ合える環境作りを大切にした。

「できれば野球の入口をもっと簡単にできればいいですよね。例えば全員がきっちり用具をそろえなくてもいい。お金のかかるスポーツで、やりたくても断念する子もいる。打てる棒とボールがあれば野球はできる。誰もが手軽に『やってみよう』と思える環境を作るのは、大人の仕事だと思っています」

 現役時代から児童養護施設などに足を運び、子どもたちの未来に向け力になりたいと考えていた小松スカウト。多くの企業、友人たちの支えもあり実現したプロジェクトに「少しでも子どもたちに笑顔を届けたい。将来に手を差し伸べることができればと思っていた。僕たちは野球を通じて何かできることがある」と、今後も継続していく考えを明かした。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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