初心者はキャッチボールから始めない? 名門実践、野球を挫折させない“壁当てドリル”

小野東スポーツ少年団の壁当ての様子【写真:橋本健吾】
小野東スポーツ少年団の壁当ての様子【写真:橋本健吾】

強豪・小野東スポーツ少年団が実践…ゲーム感覚で“技術と予知能力”を伸ばす方法とは?

 工夫を凝らした練習方法で“野球好き”を増やしていく。小学校低学年や初心者向けに体験会を行っているのが、兵庫・小野市の学童野球チーム「小野東スポーツ少年団」(以下、小野東)だ。全国大会準優勝の実績を誇る強豪は、まずは野球への入り口として、ゲーム感覚で技術を伸ばせる練習を取り入れている。

 野球を知らない子どもたちにとって、ボールを“投げる・捕球する”ことは、大人が想像する以上に難しい。昔に比べて公園などの遊べる場所も少なくなり、自然に運動神経を鍛えることができない状況だ。小野東では月に数回、野球に触れる体験会を実施しているが、いきなりキャッチボールから始めることはないという。

 柔らかいボールを使用したティー打撃、ボールを真上に投げて空間認識能力を高める“天井投げ”など、工夫を凝らし、子どもと大人が一緒になって楽しめる環境を作っている。その中でも好評なのが、投球・捕球・ゲーム性の3つの要素が入った“壁当てドリル”だ。

角度のついたバウンドで子どもの予知能力を高める【写真:橋本健吾】
角度のついたバウンドで子どもの予知能力を高める【写真:橋本健吾】

 壁の前に2つのコーンを立て、その間を使って壁当てを行う。何人でも参加はOKで、列になって順番に、壁に向かって送球→次の子が捕球して壁に送球……を繰り返していく。コーンの間にボールを投げられなかったり、跳ね返ったゴロを捕球できなかったりすれば脱落となる。様々な角度から送球すると、跳ね返り具合で思いがけないゴロが生まれるので、投げ手・捕り手は予測しながら動く必要が出てくる。

 2004年からチームを率いる園田達也監督は「キャッチボール、バッティングができなくて挫折する子たちもいる。スポーツの選択肢が増えるなかで、まずは野球を好きになってもらうことが大事だと考えています」と語る。子どもたちにとって練習日が待ち遠しくなる、誰もが野球を楽しめる“入り口”を、これからも提供していく。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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